アサギマダラの初見情報:熊本県上天草市

熊本県の益田勝行さんから17日、「天草の友人から、本日、アサギマダラが1頭飛来したとの連絡がありました」と、アサギML(メーリングリスト)[asagi:04032]を通して連絡が入りました。

場所は上天草市維和島です。

長野県の私は天草の位置はある程度知っていましたが、お恥ずかしながら維和島は知りません。慌てて Google Earth で確認し、維和島に黄色いポイントをつけました。

昨年の初見データを調べてみましたら、4月9日に益田さんによって維和島での初見情報が寄せられていました。8日ほど遅い初見だったようですが、益田さんのおっしゃるように「天草はアサギマダラの通過ルートのひとつのようです」。

実は私の Google Earth には 、黄色いポイントと赤い線がいっぱいなんです。アサギマダラの移動を記しているのですが、過去のデータを消去してないために、そうなってしまったんです。

その赤い線を見てみますと、熊本県の上を「長野県小谷村→台湾澎湖県」(2020年)や、「山形県蔵王→台湾基隆市」(同年)の2点間を直線で結んだ赤い線が通過しています。どちらも2200kmを超える距離の移動でした。

熊本県は北上だけではなく、南下のアサギマダラの通り道にもなっているのかも知れません。

益田さんは「熊本県内でも、アサギ・ファンは増えています」とのこと。本当に嬉しいことです。熊本の皆さんにもっともっとアサギマダラに関心を示していただき、こうした情報が増えて、謎の解明に一歩でも近づけたらいいですね。

益田さんと維和島のお友達の方、ご協力、大変有難うございました。

アサギマダラの初見情報:長崎県上五島町

この数日間、長野県ですら夏のような陽気でしたが、皆さんのところはどうでしょうか?

こんなに暑い日が続くと、アサギマダラは一体今、どこにいるのだろうかと考えてしまいますよね。

長崎県の野下広人さんから嬉しい情報が届きましたので、ご紹介させていただきますね。

[asagi:04029]【初見情報】上五島

本日、2022年4月10日

長崎県上五島(地図上は中通島)の高熨斗山

33°00’25.4″N 129°03’46.5″E(グーグルマップ)付近で

1頭目撃しました。

白いタオルに無反応。

 

野下さんがくるくるタオルでアサギマダラを誘引した状況が目に浮かびますね。

お仕事でお忙しくて、アサギマダラどころか他の昆虫もネタゼロとのことですが、こうした情報は格別嬉しいですよね。

皆さんのところではいつ初見日なのでしょうね?今年最初にアサギマダラを見た日と場所や状況などを、野下さんのようにぜひ教えて下さい。可能な限り座標もお願いしますね。

野下さん、貴重な情報をありがとうございました。お仕事頑張って下さいね。

雪解けのフジバカマ畑:長野県小谷村平間

こんにちは。初めまして。

長野県の田原です。よろしくお願いいたします。

鹿児島県屋久島からは、アサギマダラの標識情報が届いていますが、雪解けの長野県小谷(おたり)村平間にあるフジバカマ畑の様子をご紹介いたしますね。アサギマダラ仲間の赤沼志保さんと4月10日訪ねてみました。

小谷村は長野県北部に位置する新潟県境の村です。まだ所々に雪が残っていましたが、フクジュソウと一緒にスプリングエフェメラルのアズマイチゲ、キクザキイチゲなどの花が咲きだしていました。

おたりアサギマダラの会の丸山里香さん(左)と赤沼志保さん

まずは会長の丸山里香さんにお会いし、今季の積雪をお聞きしてみました。何と言っても小谷村は長野県下有数の豪雪地帯だからです。

丸山さんは「この竹竿が隠れるほど積もった」と、畑に立てた竹竿の横に立って下さいました。竿は少なくとも地上1.8mはあります。どうやら2mほどの積雪があったようでした。驚異的な雪の量ですね。

でも、そのような小谷村でも、2021年のアサギマダラの長野県外への移動記録は81例(77個体)と、長野県内の市町村でトップだったのです。

その理由は、当然アサギマダラが移動して、各地の皆さんによって再捕獲されたからに他なりませんが、丸山さんが引き受けてくださっている、村内の関心ある皆さんの代理を含むたくさんの報告のご苦労と、赤沼さんを含む会員たちが行っているフジバカマの植え替えや畑とその周辺の維持管理があってのことなのです。

さて、丸山さんに話をお聞きした後、赤沼志保さんとおたりアサギマダラの皆さんが管理している平間のフジバカマ畑に行ってみました。オーナーの吉澤忠さんともお会いでき、お話をお聞きすることができました。

「今年は雪が多くて、2メートルも降ったよ。今日、信男君たちが、野焼きをしてくれたよ。フジバカマはまだ新芽が出ていないけど、きっともうすぐだよ・・・」と、吉澤さんは足の痛さも忘れて畑を案内して下さいました。

フジバカマの新芽を待つオーナーの吉澤忠さんと、赤沼志保さん

この畑のあるところからは、北アルプスの爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳が見えます。画像で奥にうっすら見えているのがそれです。

さらに、畑の下の方にはJR西日本大糸線の線路も走ります。実は赤字路線のため、そろそろ廃線になるという話も出ています。その線路脇には、日本海につながる姫川も流れているんです。実に見晴らしの良い畑なんです。

野焼き後の土手

上の画像は一段上の畑の土手です。芝のような土手の一部が黒っぽく見えるでしょう。当日朝、会員が野焼きをしてくれたそうです。野焼きは、地上の害虫の卵などを駆除する効果があるようで、北アルプス山麓の各地で、3月下旬から4月にかけて行われています。

フジバカマの株の脇に咲くアズマイチゲ

フジバカマ畑には、スプリングエフェメラルのアズマイチゲが咲いていました。まだフジバカマの新芽は出ていませんでしたが、愛らしい花ですね。

雪解けのフジバカマ畑

フジバカマは5株ほどを一緒に植えます。花が終わった秋には刈り込みますので、株だけがわずか10センチほど残ります。見えますね。実はこうした株に春の北上のアサギマダラが来ることがあるそうなんですよ。これは一段上の畑です。

新芽を探す赤沼志保さん

この日は20℃以上の気温となり、とっても暖かく、たくさんの花が一斉に咲き出していました。黄色いフクジュソウ、白いアズマイチゲ、白や薄紫のキクザキイチゲ、薄紫のタチツボスミレ、フキノトウ・・・。待ちに待った春の始まりですね。

フジバカマ畑に咲くアズマイチゲ

この畑は斜面になっています。一番最初に吉澤さんが一人でフジバカマを植えた畑です。

2年後くらいでしょうか、おたりアサギマダラの会ができました。会員たちによって写真の右上に見える土蔵の左側(野焼きの土手の下の平な畑)にもフジバカマを増やしました。フジバカマが増えたからでしょうか、2020年、2021年とアサギマダラの乱舞を経験しました。

4人で一日中マーキングしても、まだまだたくさんのアサギマダラが舞っていました。会員たちも吉澤さんも大喜びしたことは間違い無いのですが、実はそれだけではなく、2020年には台湾での再捕獲も経験しました。

そんな小谷村から丸山さんと赤沼さんが、またフジバカマ情報などを発信してくださると思います。楽しみですね。

各地の情報もぜひお寄せ下さい。

2022年4月12日

アサギマダラの会 2021 年度のまとめ&2022 年度の計画立案会(通称「まとめ会」)が開催されます

次が予定されている内容です。

アサギマダラの会 2021 年度のまとめ&2022 年度の計画立案会(通称「まとめ会」)
2022 年 4 月 9 日(土)午後 ZoomMeeting による開催
【プログラム】
13:00 開会・諸連絡・ Zoom 使用上の案内など
13:05 会長挨拶
13:10 【特別講演】福田晴夫氏(質疑込み 60 分)
『あさぎまだら物語』 —-“分かってしまった”と思われては困ります。残された問題の数々を探る—– 1.春の旅立ちから越冬地まで・・・周年経過
2.出発→移動→到着・・・移動の苦労談
3.日本列島に侵入して・・・種がたどった歴史
14:10 【研究発表①】金澤至氏(同 25 分)
『検索システムによる PDF の配布と新 HP』
14:35 【研究発表②】渡辺康之氏(同 25 分)
『2021 年度、宝塚市・尼崎市・西宮市武庫川におけるアサギマダラのマーキング 調査報告』
15:00 休憩
15:10 【研究発表③】長田庸平氏(同 25 分)
『アサギマダラの原名亜種と日本亜種の形態と DNA バーコーディングの比較、および分類学的問題点』
15:40 全参加者自己紹介(60 分)
16:40 総会(30 分)
17:10 閉会