2023年度のまとめ&2024年度計画立案会(通称「まとめの会」)プログラム

本会のまとめの会の内容が明らかになりました。Zoom Meetingによる開催で詳細は次のようです。アサギマダラに関心のある方は、どなたでも視聴できますので、最下段のメールアドレスに「まとめの会参加希望」というタイトルで、本文にお名前と、参加視聴するPC等のメールアドレスを書いて3月17日までに送ってください。総会については、非会員はオブザーバー参加になります。

アサギマダラの会
2023 年度のまとめ&2024 年度計画立案会(通称「まとめの会」)プログラム
 日時: 2024 年 3 月 24 日(日) 13:00~17:00
 様式: Zoom Meeting によるオンライン開催
 参加者: 本会会員および会員外でアサギマダラに関心のある者(ともに事前の参加申し込みメールが必要)
 内容:
  13:00 開会・諸連絡・ Zoom 使用上の案内など
  13:05 会長挨拶 10 分
  13:15 【研究発表①】金澤至氏 30 分(質疑時間含む 以下同じ)
  『台湾勢への対応報告』
  『マーキング DB 構築の試案』
  13:45 【研究発表②】湯田冴氏 30 分
  『マーキング解説用 youtube 動画の試作』
  14:15 【研究発表③】佐藤元氏 30 分
  『蝶の道』
  14:45 休憩 15 分
  15:00 【研究発表④】安川憲氏 30 分
  『標識調査-奄美群島を中心として-』
  15:30 【研究発表⑤】土居咲貴氏(大阪公立大学大学農学研究科修士1 年)30 分
  『数種のマダラチョウ種に対するマダラヤドリバエの寄主適合性に関する研究-マダラチョウの移動性と天敵に注目して-』
  16:00 参加者全員による自己紹介と近況報告
  16:30 総会(30 分)
  17:00 閉会

迷子のアサギマサラ2「ナガノ NHP」「のっぺ NHP」どこから来たの?

迷子のアサギマダラの続編です。

アサギマダラの全国調査をしているMasuzawaさんから、「ナガノ」マークの迷子のアサギマダラに関係して、画像と追加情報を提供していただきました。

追加情報として、以下の「ナガノ」マークも2023年に再捕獲されていました。

「ナガノ」マークは、全国各地で再捕獲されているようですが、いまだに標識者も標識地も判明いたしません。長野県内での標識だろうと思われますし、「NHP」は標識者のマークと思われます。

お心当たりの方はコメント欄などでぜひご一報をお願い致します。

和歌山県の低地にもアサギマダラが下りてきました!

昨日(10月4日)、急に気温が低下したせいか、和歌山県の低標高地にもアサギマダラが姿を現しました。

朝に田辺市龍神村殿原のフジバカマ園(標高360m)のコバノフジバカマの花に訪花したオスの写真を、管理者の杉本町子さんから送っていただきました。また、午後14時頃に日高川町美山支所前(標高150m)を飛ぶアサギマダラを目撃しました。この2点から、確実に低標高地に下りてきていることがわかります。

和歌山県の今年のアサギマダラについては、北上の季節である初夏には特に目立った目撃記録はありませんでした。8月末に次の新聞情報がありました。

旅するチョウ「紀州の屋根」に 晩夏の護摩壇山にアサギマダラが

護摩壇山山頂付近のヨシノアザミ

飛来、和歌山

護摩壇山のヨシノアザミの花が開花し始めて、8月28日にアサギマダラが集まっている(標高1200m付近)、という情報です。例年では、10月上旬に多数が通過するのですが、約1か月も早い出現です。9月下旬にこの記事を見つけて、私も慌てて護摩壇山に調査に行きました。

9月24日に白馬(しらま)林道を走って、「ごまさんスカイタワー」まで行きましたが、アサギマダラの姿を見ることはできませんでした。翌日、護摩壇山山頂に登っても、ヨシノアザミは開花していましたが、おりませんでした。

スカイタワー近くのスカイライン沿いにオタカラコウが開花していました。紀伊民報の写真では、9月中旬にオタカラコウに訪花しているアサギマダラが見られます。この日は姿を見ませんでした。

スカイタワー近くのオタカラコウ

10時頃に森林公園案内所近くで2頭目撃し、帰りに龍神スカイラインへ少し戻ったところでも2頭目撃しました。案内所の管理人は、アサギマダラが訪花するヨシノアザミを刈らないように注意しているそうです。8月末~9月下旬の間に少ないながらも数頭のアサギマダラが、オタカラコウや、森林公園のヨシノアザミに訪花し続けていたのではないか、と想像しています。これらのアサギマダラは、紀伊半島のイケマ、ガガイモなどのガガイモ類で育ったもので、日中でも25度以下の適温である山頂付近で上下動をしていたのでしょう。

標識したアサギマダラのオス

帰路の有田川町川合白井山の白馬林道(標高858m付近)で、ヒヨドリバナに集まってくるアサギマダラ6オスを標識しました。9月25日にはこのあたりまで下りてきていたことがわかりました。記録はアサギマダラ年鑑の2023年・和歌山県・標識で見ることができます。

秋の本格的な移動シーズンを迎えた和歌山県では、次のイベントが予定されています。

10月14日(土) 10時~ 「アサギマダラ祭り・小町カフェ8周年」(田辺市龍神村殿原のフジバカマ園)

10月22日(日) 10時~ 「第2次観察会:アサギマダラ西山観察会」(日高町西山アサギマダラの谷、参加受付終了)

10月29日(日) 10時~ 「アサギマダラ祭り」(上富田町市ノ瀬だるま寺)

いずれも移動の最盛期に開催されます。満開のフジバカマ類の花と訪れるアサギマダラを見に、あなたも出かけてみてください。マーキングをされる方は、撮影している人の邪魔をしないようにお願いいたします。

参加者募集「長野県白馬村でのアサギマダラの調査・観察会」

長野県の標高1500mの山で、渡りチョウ・アサギマダラの調査・観察をしてみませんか!

  •  アサギマダラの訪花植物の確認と撮影
  •  アサギマダラの食草イケマを害するジュウジナガカメムシの調査
  •  アサギマダラがいれば、作業道でマーキング

 

日時:第一回 2023年6月26日(月)10:00〜12:00

第二回 2023年8月07日(月)10:00〜12:00

  •  9:30白馬五竜エスカルプラザのゴンドラチケット売り場前集合。
  •  前日12時頃の気象庁天気予報により、当日6:00-12:00の降水確率が50%以上なら中止。前日のうちにお知らせ致します。

 

場所:長野県白馬村五竜高山植物園

募集人員:約20人

対象者:実名で報告してくださる小学生以上の方

(小学生は保護者同伴)

参加費:一人300円(腕章代)

交通費・ゴンドラ代・宿泊費・食事代・レジャー保険などは自己負担

 

持ち物: 昆虫採集用捕虫網(作業道以外では、ネットにカバーをしてください)

油性フェルトペン(細書き黒)、プラスチック定規(10cm程度の短いもの)、筆記用具、A4のバインダー、雨具、水筒、弁当(山頂レストラン利用の場合は不要)、カメラ(訪花植物・マーキング個体等撮影用。スマホ可)、帽子、その他野外調査に必要と思われるもの。

その他 • 長袖、長ズボン、滑りにくい運動靴。

  •      調査・観察は高山植物園内で行ないますが、マーキングは勾配がある植物園脇の作業道です。

・スタッフは人数不足ですので、車椅子などの方は、作業道入り口付近でのマーキングとなります。

  •      せっかくご参加くださっても、アサギマダラがいない場合も想定されます。ご了承ください。
  •      感染症拡大の場合には、取り止める場合もあります。
  •      当日急に参加できなくなった場合は、9時半までにご連絡をお願いします。

 

申し込み方法:メールで、下記まで。参加者氏名・メールアドレス・電話連絡先などをお知らせください。

締め切り:第一回:2023年6月16日(金)。第二回:2023年7月28日(金)

 

お申し込み•お問い合わせ

アサギマダラの会白馬調査会 世話役 田原富美子

Email :poco.jin@gmail.com

本の紹介「モンシロチョウは史前帰化昆虫か? アサギマダラの生活 :長谷川順一著」

冬になると、フィールドに出かける機会がめっきりと減ってしまいますね。そんな時期ですので、アサギマダラに関係した本を紹介します。

タイトルは「モンシロチョウは史前帰化昆虫か? アサギマダラの生活 」。蝶やアサギマダラの研究者の一人、栃木県の長谷川順一さんの著作で、内容は、モンシロチョウとアサギマダラの二本立てとなっています。この時期に読んでみられませんか?

子供の頃から自然の中で遊び、昆虫や花に親しみ、大学では植物を専攻したものの、後に生物全般に関心が広がった長谷川さんが、モンシロチョウは1975年から、アサギマダラは2004年から調査、研究をしています。

モンシロチョウは誰でも知っていてどこにでもいる普通のチョウですね。キャベツの害虫と思っている方が多いと思うのですが、何を食べているのか、実際に何が大好物なのでしょうか?ではその植物はどこにあるのでしょうか?

モンシロチョウが特に好む植物は日本の土着植物か帰化植物かという観点から、食草、移動等を検討しています。

モンシロチョウの蛹や抜け殻さえ見たことがない私は、カラー写真からその多様性に驚かされました。

さて「アサギマダラの生活」は、皆さんにとって一番の関心事ではないでしょうか?

長谷川さんの住む北関東での夏のマーキングと、その成果はグラフや地図などで見ることができます。8月にマーキングした個体が9月、10月、11月と、どのように移動していったのでしょうか?

どのくらいマーキングしてどれほどの再捕獲があったのでしょうか?気になる再捕獲率はどのくらいなのでしょうか?

アサギマダラと言えば、渡りの観点から再捕獲に目を留める皆さんが多いと思いますが、アサギマダラの産卵時期とか、羽化の時期ってどうなっているのか気になりませんか?

長谷川さんご自身が現地に何度も出向いて調査されています。では調査方法はどのようなものなのでしょうか?

記述を通して、私は「長谷川さん、根性がある〜!」と思いました。私個人は、同じことを野外でやっても、たくさんのデータを取るほどには至っていません。信州人がよく口にする「ずくがない」からです。長谷川さんを含め、研究者たちはそのずくの塊です。そして関心も持ったら、それを継続する。その根性の持ち主だからこそ、たくさんのデータが取れて、思わぬ発見もあるんですね。

キジョランがない(と思われる)長野県では秋はもっぱらマーキングですが、栃木県には常緑のキジョランがあり、秋にも産卵を確認できるようです。越冬も確認できているようですので、関東方面の皆さんはこの時期ですら観察する機会がありそうですね。

気象や天敵にも影響を受けるアサギマダラですが、カラー写真からもたくさんのことが学べます。

「今は本が安くできる。パソコンで編集し、表紙まで編集した」と言う長谷川さんです。発行も長谷川さんご自身です。

縦256、横183mm、110ページ、税込み1320円。六本脚、南陽堂書店などで扱っています。

2022年度のまとめ&2023年度計画立案会(通称「まとめ会」)プログラム

アサギマダラの会の「まとめ会」のプログラムなどを紹介します。

日時: 2023 年 2 月 18 日(土) 13:00~17:10
様式: ZoomMeeting によるオンライン開催
参加者: 本会会員および会員外でアサギマダラに関心のある者
(ともに事前の参加申し込みメールが必要)

内容:
13:00 開会・諸連絡・ Zoom 使用上の案内など

13:05 会長挨拶

13:10 【ミニ・シンポジウム】80 分
 『アサギマダラ個体数の変動要因は何か』–なぜ 2022 年は少なかったのか–
 【基調講演】本田計一氏(西条生態学研究所・広島大学名誉教授)
 ディスカッション

14:30 【研究発表①】渡辺康之氏 25 分
 『2022 年、兵庫県宝塚市・尼崎市武庫川沿岸地域におけるアサギマダラのマーキング調査について』

14:55 休憩 15 分

15:10 【研究発表②】山上初音氏(大阪大学大学院理学研究科生物科学専攻)25 分
 『アサギマダラの定位方角を調べる実験系の構築』

15:35 【研究発表③】金澤至氏・﨑山孝也氏 25 分
 『和歌山県のアサギマダラなどの新知見』

16:00 【研究発表④】増澤敏弘氏 25 分
 『のっぺ山荘でのマーキング調査から』

16:25 【研究発表⑤】藤野適宏氏 15 分
 『ジョロウグモはなぜアサギマダラを食べないのか』

16:40 総会(30 分)

17:10 閉会

2022年度のまとめ&2023年度の計画立案会(通称「まとめ会」)のご案内

2023年2 月1日 アサギマダラの会事務局・村上豊

恒例の「まとめ会」開催が決まりました。昨年と同様に、今回もZoomMeetingを利用しておこないますので、遠方の方にも気軽にご参加頂けます。多くの方のご参加をお待ちしています。

開催日程:2023 年 2 月 18 日(土)13:00~17:10
開催方法:Zoom を用いた ON-LINE での開催
参加対象者:アサギマダラの会会員およびアサギマダラ調査に関心をもつ方(非会員可
参加方法:事前に参加申し込みをメールにて発信
      ↓
     事務局より視聴 URL を受信
      ↓
     開催当日に視聴 URL に繋ぐ
開催内容
ミニ・シンポジウム「アサギマダラ個体数の変動要因は何か」
 基調講演・本田計一氏(西条生態学研究所・広島大学名誉教授)
 参加者全員によるディスカッション
研究発表5題
総会

2022 年は各地でアサギマダラが少なかったと言われています。多かった2021年とは何が違っていたのでしょうか。アサギマダラの出現数を決める要因を探ります。基調講演を広島大名誉教授の本田計一氏にお願いしました。

参加の申し込みは、視聴を希望する PC(あるいはスマホ)から、以下のアドレス宛メールにて、本文に必ず「お名前」を記入の上送付してください。また件名は【まとめ会参加希望】としてください。2月 11 日(土)までにお願いします。

jym-0644【アットマーク】zeus.eonet.ne.jp (アサギマダラの会事務局)(【アットマーク】を @ と入力してください)

明けましておめでとうございます!

遅ればせながら、新年のお慶びを申しあげます。本年もこのブログ、アサギマダラの会をよろしくお願いいたします。

私事ですが、和歌山県に設置した調査所を年末に転居する必要に迫られ、ようやく近くの新居への移転が終了して、機能するようになりました。

コロナ禍の中でしたが、和歌山県での調査所生活も3年が経ち、アサギマダラを愛好する地元の多くの方々と知り合うことができました。和歌山県ではフジバカマ園が続々と開園し、とても盛り上がっています。皆さん、とても熱心で、大阪に比べて地の利もあり、今後の発展がとても楽しみです。

ウサギ年の今年は飛躍の年になるでしょう。みんなでアサギマダラ調査を楽しみましょう。

最近のアサギマダラ関連のWebニュース 10月-11月

最近のアサギマダラ関係のWebニュースです。
皆さんの活躍は励みになりますね。
【アサギマダラ、1734キロの旅 山形の遣水さん放し、蔵王から沖縄へ】2022年11月27日
Yahoo!ニュース
【アサギマダラの長旅見守る 龍郷小 マーキング活動で生態学ぶ】2022年11月18日
南海日日新聞社
Yahoo!ニュース
【旅するチョウの飛来地見学 香港から上富田と串本へ】2022年11月16日
AGARA 紀伊民報
【アサギマダラ1400キロの旅 山形発、和歌山経由で鹿児島へ】2022年11月10日
AGARA 紀伊民報
【「お接待の心」で、旅する蝶・アサギマダラを迎える人たち 瀬戸芸開催中の香川に飛来】2022年10月29日
Yahoo!ニュース
【喜界島・奄美大島でマーキング】2022年10月24日
奄美新聞社
【アサギマダラ飛来確認 石川県から、今シーズン初 チョウ研究の福島さんが捕獲 喜界島】2022年10月20日
南海日日新聞社

アサギマダラの移動と風向

アサギマダラは風をうまく利用して移動しているようです。私は日本に生息するチョウの中で最もうまく風を利用できるのがアサギマダラだと思います。今回は風の向きの影響を考えてみます。

10月の南下移動の最盛期には、急速に南西方向へ移動します。北東からの風にのって高いところを飛ぶようです。その様子はほとんど観察されることはありません。渡り鳥に比べると、小さなアサギマダラを観察するのは、とても困難なのです。

北東以外の風、特に西風が吹いている場合には、地上約10mくらいの比較的に低い高度をバタバタと飛びます。愛知県の伊良湖岬の灯台付近(上の写真)でよく見ました。10月中旬の伊良湖岬ではたいてい西風が吹くのです。そのようなときは、灯台より上の林道に咲くヒヨドリバナ類に訪花するアサギマダラが多いようです。吸蜜しながら、風待ちをしているのでしょう。翌日に北東風が吹くと、すっかり姿を消すことがあります。

先日、11月9、10日に和歌山県南端の潮岬の灯台付近で観察しました。9日の午前中は晴れており、昨年の同時期よりは少ないですが、数頭のアサギマダラが灯台付近で見られました。

翌10日は9時前から短時間の観察を行いました。この日は曇りの天候で海岸付近はほぼ無風でした。そこを2頭ほどのアサギマダラが立て続けに海に出ました。1頭目は50mくらいのかなり高いところをゆっくり飛びました。2頭目は数mくらいの高さで海に出ました。その後すぐに海から陸地に戻るアサギマダラを3頭ほど見ました。海に出た2頭が、戻ってきた3頭のうちの2頭なのかはわかりません。しかし、無風状態で海から戻るアサギマダラが短時間で3頭もいたことは事実です。

この事実から、アサギマダラは海に出て、風向きが適さないと陸地に戻るのだろうと考えました。さらに観察例を増やす必要があります。