香港でのアサギマダラ再捕獲3例目の正式報告

日本で標識されたアサギマダラは、日本国内で再捕獲されることが多いですが、外国で再捕獲されることもあります。そのほとんどは台湾で、中国大陸での再捕獲はとても少ないです。最近、香港でのアサギマダラ再捕獲3例目の正式報告が、The Journal of the Lepidopterists’ Societyに発表されましたので紹介します。

2024年8月18日に福島県北塩原村のグランデコスキー場で清水正良氏により標識されたオスが、 2024年12月21日に香港淺水灣でLING Yuet Fung氏により再捕獲されました。標識は「デコ 8/18 MSM 128」(紙のシール)で、3017kmを124日かけて移動したことになります。

再捕獲のニュースは、LING氏が所属する香港大学マダラチョウ研究会から、香港鳳園蝴蝶保育區や、台湾のアサギマダラ関係者から日本の関係者へ電子メールで伝わり、詳細がすぐに判明しました。アサギマダラは、国と国、人と人をつなぐ稀有なチョウですが、その特徴がいかんなく発揮された実例となりました。

日本では、アサギマダラのML、新潟日報などの新聞、アサギマダラの会総会、月刊むしの蝶類ニュース、日本鱗翅学会大会などで紹介されました。英文でも「Marking Survey on Chestnut Tiger Butterfly in Japan (日におけるアサギマダラのマーキング調査)」で簡単に紹介されていて、正式報告を参照してほしいことが記載されています。

この正式報告のタイトル、著者、書誌データは、Longest Record of Migration of Parantica sita niphonica (Moore, 1883) (Lepidoptera: Nymphalidae: Danainae) from Japan to Hong Kong、Yuet Fung Ling, Masayoshi Shimizu, Hiroki Takizawa, Fumiko Tahara, Emily E. Jones, Timothy C. Bonebrake, Itaru Kanazawa、The J. of the Lepidopterists’ Society, 80(2):130-134 (2026)です。

ちなみに、香港での再捕獲1例目は、2011年10月10日に和歌山県日高町西山(﨑山孝也氏標識)→10月20日に高知県香美市香北町谷相白尾林道(土居敬典氏再捕獲)→2011年12月31日に香港深水湾(潘 瑞輝氏再々捕獲)でした。2例目は、2013年10月18日に山口県下関市豊浦町リフレッシュパーク豊浦(福村拓己氏標識)→ 2013年11月16日に香港ビクトリアピーク(CHUNG On Ming氏再捕獲)でした。

 

【アサギマダラの生活史:奥田和夫さん提供】2026.6.28

各地で大きな被害をもたらしている台風、地震などで被害を受けられた皆さまにお見舞い申し上げます。

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さて、三重県名張市にお住まいのアサギマダラの会会員の奥田和夫さんから「アサギマダラの生活史」の図の提供を受けておりましたので、皆さまにご紹介させていただきます。

生活史の図と言えば、皆さんはどのような表現を思いつきますか?

一年間の表現を盛り込み、翌年は・・・となった時に、横一列ではとても表現できないもどかしさを感じてしまいますね。そこで、奥田さんが作成した図をご紹介しましょう。

友人の阿部好男氏に提供するために「月刊むし・ブックス6 旅をする蝶 アサギマダラ」(宮武頼夫・福田晴夫・金澤 至編著 有限会社むし社 2003年9月25日発行 )の中で、加納康嗣氏が執筆した「奈良県長谷与喜山天神山」で使用した197ページの図にヒントを得て奥田さんが作成したものです。

奥田さんは「本資料は2013年に作成と思います。その後すぐに、阿部様(故人)が〔アサギマダラを調べる会( アサギマダラの会)〕に投稿されたと聞いております」とのことでした。

アサギマダラの会の過去の資料「 We love ! アサギマダラ情報」(アサギマダラを調べる会発行)を引っ張り出して調べてみましたら、2013110No,271P6からP10にかけて、阿部氏が書いておられました。図は大きな図で、「羽化した6頭の生活史。奥田和夫氏作成」とありました。

加納氏の図では卵の時期が年に2回あります。文中に「7月上旬に産み付けられた卵は、もはや成長することなく死に絶えていくようです」とあり、衝撃的でした。皆さんのところはどうでしょうか?

気温の関係なのか、長野県では7月の卵が成長できても、奈良県付近では成長できないようですね。

残念なことに、加納氏も阿部氏もすでにお亡くなりになり、詳細をお聞きできないのが残念です。

奥田さんは「モノクロでは映えないないと思い、卵~成虫の各ステージを色分け」しました。非常に分かりやすいですね。図から、アサギマダラの成長の過程が分かっていただけるのではないでしょうか。

Microsoft の Excel を使い、円で作成したとのことで、1月が前年の12月に続いていますね。アサギマダラはカレンダーに関係することなく成長していき、幼虫で厳しい冬を越して、翌年5月から6月にかけて成虫になっていくのがよく分かりますね。

皆さんの研究の助けになればと思い、この図を奥田さんから提供していただきました。

奥田さん、アサギマダラの生活史の図を快く提供してくださり、本当に有り難うございました。

【三重県名張市でのスナビキソウの生育状況:奥田和夫さん提供】2026.5.11

アサギマダラのメーリングリスト(ML)のメンバーでもある三重県名張市にお住まいの奥田和夫さんから、スナビキソウの生育状況の画像が届きましたので、ご紹介いたします。

奥田和夫さん提供:砂引草の生育状況と開花調整2026年

画像が大きく表示されると分かるのですが、画像だけを拡大できないので、奥田さんの説明文などを引用させていただきますね。

スナビキソウは海岸に自生する植物で、アサギマダラを誘引することで知られています。白い花を咲かせ、その周辺をアサギマダラが優雅に舞う姿は、想像するだけでも心が躍りますね。

スナビキソウを山口県の友人山本弘三さんから譲り受けて増殖に挑戦している奥田さんによると、昨年はスナビキソウでの吸蜜はタイミングが合わず、観ることができなかったそうです。

今年4月末、自宅の陽当たりが良い南側の露地においたプランターで開花が始まったのです。

左の画像が「家の南側で日照時間が長い路地で栽培」の画像です。白い花が咲いているのがお分かりですね。

そこで『北側へ移動せなあかんな~』と思ったとのこと。奥田さんのひらめきです。なぜでしょう?

奥田さんによると「アサギマダラは5月末に飛来するので早すぎる」という訳です。

アサギマダラが名張に到着するタイミングに花を合わせるため、奥田さんはこんな工夫をしました。

「12月~3月はビニールハウスで保護」し、「家の北側の日照時間の短い場所での栽培」を試みました。右上の画像がそれです。茎、葉は成長していますが、花はまだですね。右上も左も今年の4月29日の撮影です。

次は右下の画像をご覧ください。そのスナビキソウが、「5月4日咲き始め」ました。「家の北側・南側の位置及びビニールハウスの保護で開花に約1Wのズレが発生した」のです。ひらめいて実験したことの成果がこのような形で出た訳ですね。

奥田さんは「この育成状況を考えると、日照時間(南北の配置)とビニールハウスの保護にて開花時期のコントロールが可能ではないだろうか!?来年はこれらの組合わせで開花時期の調整に挑戦してみようと思う」と書いています。

まだまだ奥田さんの挑戦が続きそうですね。

ところで、メーリングリストへの最近の報告を見てみますと、北上のアサギマダラのスナビキソウへの訪花の報告が幾つかあります。

山口県山陽小野田市の福村拓己さんによれば、長門市の海岸で5月7日、スナビキソウへの訪花が確認されています(asg:01189)。

海のない群馬県安中市では宮前和夫さんが栽培しているスナビキソウへの訪花が、5月8日に確認されています(asg:01197)。

過去の報告では福岡県、大分県、愛知県、島根県、石川県、富山県、北海道・・・などの海岸にもスナビキソウへのアサギマダラの訪花が確認されていました。スナビキソウに訪花するアサギマダラの観察が可能かも知れませんね。

海の近くにお住まいの皆さんは、ぜひお近くの海岸に行ってスナビキソウを探してみてください。スナビキソウの周辺を優雅に舞うアサギマダラに出会えるかも知れません。きっと感動しますよ。

しかし、地域によってはスナビキソウがあってもアサギマダラにマーキングできない所や、スナビキソウ自体が保護の対象に指定されているところもありますので、ご注意ください。

奥田さん、貴重な経験と編集画像のご提供をありがとうございました。ご協力くださったアサギマダラの会会員やメーリングリストメンバーの皆さん、ご協力大変ありがとうございました。

次回は、奥田さんの作成した図「アサギマダラの生活史」をご紹介しましょう。これは非常に興味深いものですよ。

【アサギマダラ関係の情報をお知らせください】2026.3.29

全国におられるアサギマダラ愛好家の皆さま

毎日のように桜前線が北上しているニュースを見て、ワクワクしている、そんな時期ですが、皆さんのところはいかがでしょうか?

南の暖かい地方ではすでにアサギマダラのマーキングが始まっているようですが、桜に遅れて1ヶ月もすれば、各地でアサギマダラに出会えそうですね。

北上のアサギマダラを迎えるために、花畑の手入れをされている皆さんもいらっしゃるかもしれませんし、山で幼虫を観察されておられる方もいらっしゃるかもしれませんね。

どんな植物でアサギマダラを待っておられますか?山で見る幼虫の状態はどうでしょうか?フジバカマなどの吸蜜植物の成長具合はどうでしょうか?アサギマダラに関係していれば、情報は植物でも幼虫でも何でも構いません。

各地の皆さんから、画像付きの情報をこちらにお寄せいただけるようでしたら、アサギマダラの会のこのブログでご紹介できるかなと思って、このような記事を書かせていただきました。

原稿はご自身で書いてくださっても構いませんし、お寄せいただいた情報を元に、こちらでまとめても構いません。場合によっては、文章の直しなどがあるかもしれませんが、全て打ち合わせの上で掲載させていただきますね。

ぜひメールで以下のアドレスまで情報をお寄せください。ただし、実名でお願いします。各地の情報をお待ちしております。よろしくお願いします。

アサギマダラの会 ブログ担当 田原富美子

メールアドレス:TSUITSUIPECO@YAHOO.co.jp

(詐欺メールが非常に多いので一部大文字にしていますが、@も含め、すべて小文字にしてください。「I」は「i」で、すべてアルファベットです)

奄美群島の島唄の「蝶」はアサギマダラではないか?

先日、NHKの「ファミリーヒストリー 岩崎宏美 〜母から継いだ声 父を変えた歌〜」(初回放送日12月9日(火)午後10:00)を見ていたところ、奄美群島の島唄によく出てくる「蝶」は、アサギマダラだろうという確信を持ったので紹介します。私の知る限り、この指摘はこれまでになく、初めてのものと思われます。

番組の5分頃から、唄者(うたしゃ)の説明が始まります。岩崎宏美さんの母方の大祖母が畠 伝松(はたけ でんまつ)氏で、奄美大島の地元では有名な唄者だったそうです。唄者は住民が集まる場で島唄を披露するのですが、唄がうまく、なおかつ記憶力がいい方がつとめたのでしょう。

6分50秒頃から、徳之島節という島唄の歌詞の意味が画面に表示されました。次のようです。

徳之島に向かって 飛びをる綾蝶々 一時待て蝶々 伝言を頼もう 致し方ないよないよ 伝松姉っこ

この最後の「伝松姉っこ」が岩崎宏美さんの大祖母の畠 伝松氏であり、徳之島へ向かって飛ぶ蝶に、愛しい人への伝言を頼む愛の唄であると、識者の解説がありました。少し違和感がある解説なのですが、本題でないので、詳細は控えます。

私が引っかかったところは、「徳之島に向かって 飛びをる綾蝶々」です。「綾蝶々」は、奄美群島の島唄によく出てくる歌詞のようです。「島唄の綾蝶々とは?」とGeminiに訊いたところ、次の回答(一部)がありました。「沖縄の方言(ウチナーグチ)です。綾(あや): 模様、美しい模様。蝶々(はべる): 蝶、または蛾。沖縄では、日本最大級の蛾である「ヨナグニサン」のような美しい蛾も「ハベル」と呼びます。…これは美しい模様の蝶蛾(ガ)を指す言葉ですが、この歌においては魂を運ぶ存在としての意味合いが込められています。…魂の化身:沖縄には「人が亡くなると蝶になってあの世へ旅立つ」「蝶は先祖の魂を背負って帰ってくる」という伝承があります。つまり、アヤハベルは単なる昆虫ではなく、亡くなった人々の魂そのものを象徴しています。」つまり、「あやはべる」と発音して、「美しい蝶」という意味と思われます。

徳之島、奄美大島、喜界島の位置(Googleマップより)

以上のGeminiの回答から「徳之島に向かって飛ぶ美しい蝶」は、「奄美大島から徳之島へ向かって(死者の)魂を運び、背負って帰ってくる美しい蝶」という意味にもとれるのです。それでアサギマダラです。徳之島、奄美大島(、喜界島)の位置関係は上の図のようです。アサギマダラは、秋の11月頃に喜界島、奄美大島から多数の個体が南西方向へ飛びます。そして、春の3~4月に徳之島から奄美大島・喜界島へと北東方向へ北上すると思われます。秋に徳之島へ向かって飛び、春にまた帰ってくるわけです。それにアサギマダラは最も目立つ優雅に飛ぶ蝶なので、資格は十分でしょう。

喜界島には福島 誠氏が住んでおられ、多数の標識・再捕獲をされています。本州から喜界島へ移動したアサギマダラの再捕獲がほとんどです。次に多いのが本州から奄美大島で、徳之島へ移動した個体の記録も数頭あります。奄美大島と徳之島には地元のアサギマダラ愛好家がほとんどおらず、両島間の移動は記録されていませんが、移動すると思われます。それが私の推定の根拠です。

ところで、岩崎宏美さんの父方の故郷は、新潟県佐渡島の相川町で、私と同じ新潟県でした。岩崎宏美さんのファンとして、とてもうれしい情報でした。

最近できたNHK ONEで再放送が見られます。配信期限は12月16日(火)午後10:44です。興味のある方はぜひご覧ください。

【標識地の紹介:長野県須坂市八町】堀米直子さんから

長野県の堀米直子さんから、長野県須坂市八町にある「蝶のさと花の里」を紹介したお便りが届きました。皆さんにご紹介しますね。

須坂市八町の「蝶のさと花の里」

 

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 八町フジバカマ園には4年前(2021年)、アサギマダラに興味を持ち始めた頃に初めて行きました。

「蝶のさと花の里」の位置を書いた看板と、地元で標識されたアサギマダラ

ネットで見て、「はっちょう」の読み方もわからぬままとりあえず須坂へ行き、下八町公会堂の近くでお尋ねしたら、ちょうど近くのリンゴ畑に行かれるとのことで先導していただけて、たどり着くことができたのです。9月25日、たくさんのアサギマダラたちが吸蜜し、元気に舞っていました。

あれから毎年、お邪魔させていただいております。見晴らしが良く、

須坂市を見下ろせる見晴らしの良い「蝶のさと花の里」

ベンチ等も整備され、さまざまな珍しいお花や木々が見られて、四季折々楽しめる、とっても気持ちの良いところです。

コスモスも咲く「蝶のさと花の里」

山の中腹の、草の生い茂る広い土地を切り開き、高いところまで水を引き、たくさんのフジバカマ(原種と園芸用)を植え付けて、この園を開かれた村石春信さん。大変なご苦労があったことと思います。ほかにも、駐車場、ベンチ、お手洗い、石垣、ブットレアやコスモス・カンナなどの花、高山植物や園芸植物の花壇、鯉のぼりやメダカ、…などなど私が見たものだけでも挙げればきりがありません。(村石さんは「楽しんでやってるから」、とおっしゃいますが…)

フジバカマやコスモスが咲く「蝶のさと花の里」

野山好きの私は、秋の飛来が待ちきれず、様子を見に時々足を運んでは楽しんでおります。(今年5月16日、その近くの林道でミツバウツギの白い花を訪れたアサギマダラに会うことができました!)

近くの林道でミツバウツギの白い花を訪れたアサギマダラ 2025年5月16日撮影
近くの林道でミツバウツギの白い花を訪れたアサギマダラ 2025年5月16日撮影

昨年秋に訪れた際、ちょうど作業にみえていた村石さんにお会いしたので、偶然ネットで目にした2023年の「迷子のアサギマダラ」(私どもが標識したものでした)のことでお尋ねしましたら、その場で田原さんに電話してくださり、お話しすることができました。お陰様で、それを機に、思いがけず素敵な経験をさせていただくことができ、本当に感激でした。村石さん、田原さん、再捕獲・撮影・報告してくださった方々、リンゴ農家の方、皆さま、たいへんお世話になりました。

これからも、愛情いっぱい管理なさっている村石さんのご苦労に感謝しながら、八町の「蝶のさと花の里」での出会いを楽しみにしたいと思います。

画像提供:堀米直子さん

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堀米直子さん、ご投稿、大変有り難うございました。

アサギマダラのマーキング調査の歴史と成果を解説した英語本の出版

1970年代に始まったアサギマダラのマーキング調査の歴史と、調査の成果、特に国間の移動(130例)を詳しく解説した英語の本が電子出版されました。

内容は、日本におけるアサギマダラという蝶のマーキング調査の歴史と国際的な移動に焦点を当てています。具体的には、調査の開始から初期の方法、国内外での再捕獲数の増加、そして台湾、韓国、香港への移動経路の解明について概説されています。また、DNA解析による遺伝的特徴の特定、インターネットを通じた情報共有の進展、そしてマーキング方法の変化も紹介されています。最終的には、調査の社会的な意義と将来への期待についても触れられています。

マーキング調査の歴史と成果を解説した英語本の表紙

本のタイトルなどの詳細は、次のようです。

Marking Survey on Chestnut Tiger Butterfly in Japan
– History and Inter-Country Migration –
Second Edition
Published April 28, 2025
KANAZAWA, Itaru / TAHARA, Fumiko / MIYATAKE, Yorio / TAGUCHI, Makoto
The Chestnut Tiger Group English Translation Team: CTGETT

The explanatory video by NotebookLM is as follows.

To view this book, visit Kindle.

日本語に翻訳すると、次のようです。

日本におけるアサギマダラのマーキング調査
- 歴史と国間移動-
第2版
2025年4月28日発行
金澤 至・田原富美子・宮武賴夫・田口 誠 編著
アサギマダラの会・英文化チーム

NotebookLMによる解説動画は次のようです。

閲覧方法は、キンドルにアクセスしてください。多くの方がたに読んでいただくために、最も安価な約2ドルに設定しています。よろしくお願いいたします。(著者一同)

【アサギマダラの産卵を7月に確認・でも不思議がいっぱい】

アサギマダラの生態を観察する機会は春や秋の花畑や山でのマーキング以外にはそうそうあるものではありませんが、皆さんはどの程度アサギマダラの不思議に近づいてきたでしょうか?

春の海岸のスナビキソウで北上のアサギマダラを観察することができるようですが、秋にはアサギマダラの南下に伴ってフジバカマの花畑でアサギマダラをたくさん見る方も多いかも知れませんね。

メーリングリストやFacebookの書き込みで、アサギマダラの交尾を撮影したとか、オスのヘアペンシルを撮影したなどの情報が入ってくると、ちょっワクワクするものですね。滅多に見る機会がないからですよね。

長野県に住んでいても去年はなかなか山に行けなかった私ですが、今年になって7月31日にある方の別のチョウの調査に同伴して朝日村の林道鉢盛山線で、ゲートから鉢盛山登山口までの区間、車を走らせ、たまたま標高1465m付近でアサギマダラを観察する機会がありました。

イケマの周辺にいたアサギマダラを見つけ、思わずカメラを握り締めました。アサギマダラはイケマの葉裏に止まりましたので、葉の表から撮影。葉とアサギマダラが見えるように回り込みたかったのですが、動いてしまい、とりあえずピンボケでもいいからとシャッターを切りました。

2025.7.31-506 アサギマダラ イケマに産卵中11:15

これは直感ですが、イケマにアサギマダラがいたと言うことは、メスの産卵だと判断し、とっさにアサギマダラがいた葉に近づいて葉を裏返すと、やはり白い卵が。

2025.7.31-548アサギマダラの産みたての卵11:17

その同じ株の上の方の新芽には2つの卵も確認できました。同じ個体の卵なのでしょうね。3卵を確認できました。

2025.7.31-554小さなイケマの新芽にアサギマダラの卵を2卵確認11:17

アサギマダラはすぐ近くのクマザサの葉に止まり、さらに別の葉に移り、そこでじっとしています。産卵を終えて疲れ切ってしまったのでしょうか?

卵があったイケマの近くから動くこともなく、私が何度もカメラのシャッターを切ってもそのままです。うるさいシャッター音がするのに、逃げる様子もなく、疲れて眠りについたかのようです。

いつもでしたら捕まえてマーキングするのですが、そのアサギマダラを見た私はとてもマーキングする気になれず、そっと観察を続けました。

2025.7.31-612クマザサで休み続けるアサギマダラ11:15-11:24

メスのその個体の翅はボロボロで、浅葱色の部分にはシミも見えます。

翅の状態から考えれば、春に暖かいところで羽化したアサギマダラなんでしょうね。マークは確認できませんでしたが、どこから来たんでしょうね?メーリングリストで報告を出してくださる南の方の皆さんの顔が思い浮かびます。

産卵を終えたばかりのアサギマダラです。マークしようと思えば捕虫ネットもマーキング表もフェルトペンも持参していますし、素手で捕まえることも簡単にできました。でもアサギマダラの気持ちになれば、休ませてあげたいと思ったのは、女心からかも知れません。

でも、なぜアサギマダラは遠くに舞って行かなかったのでしょうか?人間が近くにいても平然と卵の近くに留まっているんです。これも女心なのでしょうか?いえ、親心があってのことだったりすれば、アサギマダラに感情があるってことですよね。そんなことってあるんでしょうか?

マーキングよりも観察を選び、10分弱その場所に私たちも留まりました。しかし目的があって林道に行っているので、いつまでもそのままでいられなく、私たちの方が先にその場所から移動することにしました。

葉っぱの表から撮影とはいえ、私がアサギマダラの産卵を確認したのは恐らく初めてのことです。

山のイケマの葉裏で卵は時々発見していましたが、産卵するアサギマダラは見たことがなかったように思います。

ヒメギフチョウやモンキチョウ、アゲハの産卵は何度も見ていますが、産卵は蝶の不思議な行動の一つですね。

どうやって幼虫の食草の葉を見分けるのでしょうか?株が小さくても見分けています。

産卵に葉の裏を選ぶのはなぜなのでしょうか?直射日光が当たらないからなのでしょうか?卵が雨に濡れないためでしょうか?

下を向いているに卵が葉っぱから落ちないのはなぜなのでしょうか?

小さな新芽に卵が二つもありましたが、食草が足りるのでしょうか?

人間でもお産には相当の体力を使いますが、チョウの場合はどうなんでしょうか?動かなくなるほどじってしていることを考えれば、やはり相当の体力を使っての産卵なのでしょうか?

7月末の産卵ですので、卵が成長して成虫になって、アルプスを越えて南に移動するのに、気温が下がりすぎる前の時期に成長が間に合うのでしょうか?

そんなメスのアサギマダラが2000km以上も移動した例もあることを考えると不思議がいっぱいでたまりません。

そんな素朴な疑問がいっぱいあるので調査をやめられないでいる私です。

ポツンと一軒家でアサギマダラが登場しました

2025年6月1日20時からテレビ朝日系列で放送された「ポツンと一軒家 瀬戸内海に…海運王の別荘!?・・・」という番組で、アサギマダラが割と詳しく紹介され、乱舞しているシーンや標本なども登場しました。

視聴率のいい番組ですから、ご覧になった方も多いと思います。私はほとんど見ないのですが、先週の予告を見た近所の方から、「来週6月1日放送予定のポツンと一軒家にアサギマダラが出るで」と聞きました。それで、録画予約をしていました。当日、番組を見た知人から電話で連絡もありました。

先ほど見てみると、かなり詳しく紹介されていました。番組開始後18分くらいからアサギマダラが登場し始めます。海運王といわれた方の別荘が香川県の瀬戸内海の小さな島にあったそうです。そこが会社の保養所になって、数年前から70歳代のご夫婦が住んでおられます。その奥様がチョウを好きで、特にアサギマダラがお好きなようです。アサギマダラを誘引するために、そこに住んでおられるという説明もありました。

4月のサクラの開花真っ盛りの取材で、別荘前の海岸のスナビキソウがアサギマダラの好きな花としてまず紹介されました。スナビキソウの密度はそれほど高くはありませんが、そこそこあるようです。香川県観音寺の有明浜や、淡路島にスナビキソウがあったと思いますから、瀬戸内海の離島にあっても不思議ではありません。

お宅の中にアサギマダラの標本と写真があり、「けしご山 しば」とマークがありました。それは岡市東区広谷芥子山で柴久恵さんが標識されたものと思われます。それもご存知のようでしたが、たぶんメーリングリストに報告のないものかもしれません。これから精査したいと考えています。

旦那さんが撮影された、コバノフジバカマと思われる花にたくさんのアサギマダラが乱舞するシーンも映りました。大分県の姫島が有名ですが、島に誘引植物を植えると、集まりやすいようです。海上を移動するアサギマダラが臭いにひかれて降りてくるのでしょう。

Tverで見逃し配信を1週間ほどは見れると思います。ぜひ、ご覧ください。

【友人から届いたスナビキソウの地下茎から新芽】

三重県の友人から先日、山口県の友人からいただいて増やしたと言うスナビキソウの地下茎を送っていただきました。

濡れた水苔を入れたビニールの袋に、細い地下茎が入っており、地下茎から1,5cm程度に伸びている白い新芽が見えました。こんなにか細い地下茎で、新芽も本当に小さいものだったと、初めて知りました。

地下茎から伸びたスナビキソウ新芽

海岸でスナビキソウを見ている方は何人もいらっしゃると思います。スナビキソウがアサギマダラの春の吸蜜植物になっているので、海岸でアサギマダラのマーキングをされる方や撮影を楽しんでおられる方も多いかもしれませんね。

三重県の友人は、路地栽培とビニールの温室栽培のスナビキソウの両方を送ってくださいました。芽が出ているのはビニールの温室で育てたものです。 三重県は暖かいので、もう路地に移植しても大丈夫のようです。

一方、スナビキソウが届いた翌日に、長野県北アルプス山麓では雪が降りました。15cmほど降り、雪かきをしました。ですので冬の間に水耕栽培をして、ゆっくりと芽を出してもらい、温かい春になったら山沿いの畑に植えようかと思っています。

長野県の山沿いで育つかどうかは実験してみないと分かりませんが、北海道の海岸にもあるようですので、長野県でも育てることは可能だろうと思っています。

北上のアサギマダラが長野県にやって来るのは5月連休開けです。その頃に花を咲かせるのはどうも難しそうですが、こんなところで花を見ることができるかも知れないと思うと、ちょっと嬉しいですね。

実はほぼ毎年、お隣の新潟県や富山県にドライブがてら行くことがあり、行くたびに海岸でスナビキソウを探していました。でも残念ながら見つけることはできませんでした。柏崎に行ったときに、小高い丘の上でスナビキソウに似た白い花が咲いていましたが、残念ながら葉っぱからして、スナビキソウではなかったです。

ところが、一昨年石川県に行った時に、能登半島の西側のある海岸に点々と生えていた植物を撮影していました。すでに花が散っていて名前も分かりませんでした。実はその植物がスナビキソウだったと言うことが、今年になって画像を整理していて分かったのです。

その海岸でアサギマダラをマーキングしていた大先輩がいることを、過去のメーリングリストで知ることもできました。アサギマダラが石川県のその海岸に吸蜜に来ていたのですね。そこでは北上の個体の再捕獲まであり、素晴らしい海岸だったということを知ることができました。

さて、海岸の砂浜に育つスナビキソウですが、北アルプス山麓での水耕栽培が成功するかどうか、とにかく頑張ってみますね。