アサギマダラの移動と風向

アサギマダラは風をうまく利用して移動しているようです。私は日本に生息するチョウの中で最もうまく風を利用できるのがアサギマダラだと思います。今回は風の向きの影響を考えてみます。

10月の南下移動の最盛期には、急速に南西方向へ移動します。北東からの風にのって高いところを飛ぶようです。その様子はほとんど観察されることはありません。渡り鳥に比べると、小さなアサギマダラを観察するのは、とても困難なのです。

北東以外の風、特に西風が吹いている場合には、地上約10mくらいの比較的に低い高度をバタバタと飛びます。愛知県の伊良湖岬の灯台付近(上の写真)でよく見ました。10月中旬の伊良湖岬ではたいてい西風が吹くのです。そのようなときは、灯台より上の林道に咲くヒヨドリバナ類に訪花するアサギマダラが多いようです。吸蜜しながら、風待ちをしているのでしょう。翌日に北東風が吹くと、すっかり姿を消すことがあります。

先日、11月9、10日に和歌山県南端の潮岬の灯台付近で観察しました。9日の午前中は晴れており、昨年の同時期よりは少ないですが、数頭のアサギマダラが灯台付近で見られました。

翌10日は9時前から短時間の観察を行いました。この日は曇りの天候で海岸付近はほぼ無風でした。そこを2頭ほどのアサギマダラが立て続けに海に出ました。1頭目は50mくらいのかなり高いところをゆっくり飛びました。2頭目は数mくらいの高さで海に出ました。その後すぐに海から陸地に戻るアサギマダラを3頭ほど見ました。海に出た2頭が、戻ってきた3頭のうちの2頭なのかはわかりません。しかし、無風状態で海から戻るアサギマダラが短時間で3頭もいたことは事実です。

この事実から、アサギマダラは海に出て、風向きが適さないと陸地に戻るのだろうと考えました。さらに観察例を増やす必要があります。

“アサギマダラの移動と風向” への4件の返信

  1. 兵庫県三木市(10/6)で目撃したアサギマダラはフジバカマの蜜を吸い終わると、そのまま 真っ直ぐ上昇して姿が見えなく成りました肉眼で見たのですが、やはり高度の高い所を移動してますね。

  2. 投稿、ありがとうございました。

    そうですね。無風で晴れた日に、アサギマダラがそのように高く上がっていくことがありますね。そのまま移動するのでしょうね。後をついていかないとわかりません。

    台湾の陽明山国家公園の大屯山で6月に、2頭がからみながら上昇した光景を見た記憶があります。そのまま日本へ飛んだのだろうと思いました。集団で移動するという説がありますが、そのまま行くのでしょう。

  3. アサギマダラは夏の間は常に風上に向かって移動しながら生活しています。匂いなどの化学情報によって生活しているからです。そのことは、『香り選書10・ロボットで探る昆虫の脳と匂いの世界・フアーブル昆虫記のなぞに挑む・神崎亮平』に詳しく書いてあります。皆さんも納得することでしょう。風は天気図によって吹くわけではありません。太陽エネルギーによって吹くのです。日の出後は、まず東向きの斜面に日が当たり、地面が温められます。すると比熱の小さな地面近くの空気が一番に軽くなって、上に上がろうとしますが、その西側の空気も上昇したいので、結果的には斜面全体の空気が斜面に沿って稜線に吹きあがります。非常に弱い、局地的な風なので、気象学では【谷風・湖風・海風】などと呼ばれて、あまり気象とは関係しない風とされているようですが、アサギマダラなどの化学情報で生きている生き物にとっては非常に大切な風です。しかし、アサギマダラなどの昆虫は変温動物なので、夏が近づくと棲息地をどんどん高くして、3000mのアルプスでも吸蜜のため見られるようになります。僕らは一日汗を掻いて消耗しながら登って来るので、あんな華奢なアサギマダラの体力に驚きを覚えますが、翅を開いてバランスをとっているだけで、上昇風がどんどん高みに連れて行ってくれます。そんな姿が実際に見られる場所があります。鹿児島県南端の開聞岳です。アサギマダラの会のホームページのアサギマダラの写真のように水平に翅を開いたアサギマダラが頂上まで来ると、岩の廻りを『もっと涼しいところはないの?』と飛び回りますが、そのうち南寄りの風が吹くと、スーッといなくなります。北国に旅立ったのです。これが斜面上昇風です。

    http://kyoto.d.dooo.jp/kaze&asagimadara.html

  4. 投稿、ありがとうございました。

    ここで私が書いたのは、南下移動の最盛期の10~11月に南方に突き出た岬の先端で、アサギマダラがどういう挙動をしているか、という内容です。早朝から吸蜜を始め、9時近くになると、移動モードになると考えられます。

    7~8月には、気温の上下動に応じて、アサギマダラも高度を上下動していると思われ、その行動が「夏季のさまよい」につながっているのでしょう。これはタイリクアサギマダラなどにも見られ、アサギマダラを含む近縁群の共通な習性と思います。

    その夏季にはサーマルという上昇気団をうまく使っており、金田さんのご指摘の行動が見られると思います。しかし、定方向的な移動はないでしょう。

    このサーマルにアサギマダラが包まれて上昇すると、何千メートルも上昇する可能性があり、これまでいくらなんでも偏西風の影響を受けるほど上昇するはずがない、と考えていましたが、その可能性もあると思えてきました。

    とにかく、アサギマダラと風の関係は、とても興味深いです。

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