イケマを好むジュウジナガカメムシ:長野県

先日、アサギマダラの会のまとめ会で講演会があり、講師の先生がキジョランやイケマなどを好む虫の名前をいくつか出されたんですね。

アサギマダラの幼虫が好む植物の中で長野県で見るのはイケマが多いですが、実はそのイケマを好むのはアサギマダラの幼虫だけではなく、ジュウジナガカメムシもイケマが大好物だということを知りました。

長野県松本市美ヶ原林道 標高:1,300m付近 2022年6月8日撮影

ヒメジュウジナガカメムシやジュウジナガカメムシに新芽が加害されると、その植物が枯死することもあるとのことでした。それで、まとめ会の後、メモを見ながら、気になって過去のデータを探してみました。

現地のイケマを撮影した画像を確認したところ、講師の先生が見せてくださった、赤いカメムシに似たカメムシがいくつか出てきました。

その画像のカメムシが該当のカメムシなのかはまったく分からなかったのですが、アサギMLにアップしてお聞きしてみました。

上の画像がそれです。早速何人もの皆さんが反応し、先生方が画像を確認してくださり、ジュウジナガカメムシだとのことでした。

イケマでアサギマダラの卵を確認していた時、たまたまイケマの葉っぱにカメムシがいたので撮影しただけだったのですが、このカメムシもイケマが大好物だったと知ることになりました。

よく似たカメムシでヒメジュウジナガカメムシは、どうやら長野県よりも暖かいところにいるようです。暖かい地方の皆さんは、ガガイモやキジョランなどで確認できるかも知れませんね。

赤い色とシャレた模様がとってもきれいですが、このカメムシたちが集団でアサギマダラの食草を吸汁し尽くしてしまえば、アサギマダラが産卵する食草はあっという間になくなってしまいそうです。

上の個体は6月8日の撮影で、交尾でした。9月3日にはイケマにいた集団の個体を撮影しており、それは幼虫だったようです。

皆さんのところでも、アサギマダラの食草に、このようなカメムシやアブラムシなどがいるでしょうか?

もしいましたら、画像とともに、撮影年月日、場所(座標もわかれば)、撮影者の実名を添えて、このブロクか、Facebookアサギマダラ・マーカーの広場にぜひ情報を提供してください。

上の個体の簡単な確認情報です。このような感じで構いません。

イケマを食べるカメムシ情報】
確認地:長野県松本市美ヶ原林道
座標:36.25089, 138.03311付近
標高:1,300m付近
確認日:2022年6月8日
撮影者:田原富美子

MLで情報を共有させていただき、専門家の先生方にお聞きしてみますね。

カメムシだけがアサギマダラが増えたり減ったりする大きな要因とはならないかも知れませんが、何らかの手がかりの一つになったらいいですね。よろしくお願いいたします。

近畿地方より南から長野県へのアサギマダラの移動 2014-2022年

グラフついでに、「近畿地方より南から長野県へのアサギマダラの移動 2014-2022年」をご紹介します。

主に5月から6月にかけて、北上のアサギマダラが南の暖かい地方から長野県にやってきます。ほぼ毎年、山などで再捕獲されています。

南の温かい方面の皆さんがマーキングしたアサギマダラが北の方で再捕獲されるケースは非常に少ないので、ここに掲載したのはとっても貴重なデータです。

長野県内での記録としては、2017年と2018年には3例の北上の再捕獲がありました。今年も2例の再捕獲が記録されました。

どこから来ているのかは色を見てください。紺色は鹿児島県からです。屋久島町からは、2017、2018、2019年と3年連続で3例が記録されました。さらに2018年には、西之表市の5月のマークが6月と7月に記録されています。どちらも島ですので驚きですね。

今年は徳島県からの2例の移動が記録されました。水色がそれです。

各地の皆さんが頑張っておられるので、こうした移動が明らかになっていますが、その努力は半端ではないと思われます。

今年の個体数が多い少ないとは直接は関係ないと思いますが、ご紹介させていただきました。

中部地方から長野県へのアサギマダラの移動 2014-2022年

今回ご紹介するのは「中部地方から長野県へのアサギマダラの移動 2014-2022年」です。

長野県内で再捕獲されて、移動情報までこぎつけたデータをグラフ化してみました。

このグラフも、前回のグラフ同様、実際の再捕獲数はもっとありますが、【移動情報】が出ていないもの、信憑性のないものは一部除外し、再々捕獲は2例として扱っています。

移動情報の全体数から見ますと、2022年は非常に少なく見えます。10月10日現在、2021年の73に対して2022年は6分の1の12の移動情報でした。

中部地方の真中付近にあるのが長野県ですが、県内移動が多いのは、距離的に見ても納得いきます。緑色がそれです。南北約200km、東西約100kmの長野県で、100km前後の報告はよく見ます。

早い時には5月下旬から長野県内でアサギマダラの姿を見るようになりますが、5、6月の再捕獲の多くは暖かい地方からの移動です。

7、8月にはアサギマダラは標高の高い山に移動しているようで、その頃の再捕獲情報の中には、周辺の中部地方からの移動がわずかにあります。

では、移動情報が数として一番多いのはいつでしょうか。実は9月以降です。長野県を取り巻く中部地方からの移動もありますが、先日のグラフでご紹介した東北、関東地方からの移動が多くを占めています。

その背景には、アサギマダラが南下の時期に入ることもあるでしょうが、皆さんの頑張りも無視できません。

そのことも考慮すべき重要な要素の一つですので、今年はアサギマダラが少なかったと感じたことと、グラフが単純に一致しているとは言い切れないかも知れませんが、ご参考程度に見ていただければと思います。

そして、今年各地で発生した線状降水帯による大雨とか、6月後半以降の記録的な高温が、卵から幼虫、蛹にかけてのアサギマダラにどのように影響したのかは分かりませんが、涼しいところや安全な場所に移動することもできない段階で大きな打撃を受けなかったとは言い切れないのかも知れないと、素人ながらに思いました。

次回は、「近畿地方より南から長野県へのアサギマダラの移動 2014-2022年」をご紹介します。

近年の「東北・関東地方から長野県へのアサギマダラの移動」のグラフを作ってみました。

「今年のアサギマダラは少ない」と、あちこちからそんな声をお聞きしています。皆さんのところはどうでしょうか?

東北方面からは「今年のアサギマダラの飛来数が非常に少ない」と、お聞きしていましたし、長野県内でも、私が調査で通っていたエリアでも昨年に比べて非常に少なく感じていました。

理由は分かりませんが、近年の異常気象が昆虫たちに影響しているのか、あるいは寄生ハエや寄生ハチにやられたのか、それともウイルスなのか・・・?

昆虫たちは毎年一定して発生しているわけではありませんし、長い年月消長を繰り返し、今に至っているわけですね。アレヤコレヤと想像はしてみても、原因までは分かるわけもありません。

そこで、何かの参考になるかも知れませんので手持ちデータからグラフを作ってみました。長野県のデータがどのくらい参考になるかは分かりませんが、長野県は本州のほぼ中央に位置しますのでちょっとした参考程度にはなりますね。

今回は、「東北・関東地方から長野県へのアサギマダラの移動 2014-2022年」です。

【移動情報】を元にしたグラフですが、信憑性のないものは一部除外しているものもありますし、再々捕獲は2例として扱っています。

実際の再捕獲数はもっとありますが、【移動情報】が出ていないものは除外しています。

実は、今年はアサギマダラのマーキングの時期に他のチョウも非常に少ないと感じました。例年ではミドリヒョウモンやメスグロヒョウモンは数え切れないほどアサギマダラの吸蜜するヨツバヒヨドリなどに群れるのですが、今年はポツンポツンといた程度でした。

時期的なものもあるのでしょうけれど、逆に、大小のアブが多かったです。車にも入ってきて大変でした。

皆さんのところはどうでしょうか?

グラフは今年の10月10日現在ですので、【移動情報】が出れば、若干変更することもありますので、ご了承ください。

次回は中部地方から長野県への移動グラフを掲載します。

スイゼンジナの育成に挑戦:長野県北アルプス山麓

一週間ほど前から、またスイゼンジナの育成に挑戦しています。

最初の2回は、いただいた苗から育てたのに、花を見ることもなく、越冬させることもできずに枯らしてしまいました。

そんなこともあって、まったく自信がなかったのですが、ご親切な方から7本に枝分かれして15-20cmほどに育ったスイゼンジナを1株いただき、3度目の挑戦を始めました。

いただいた当日の写真は撮っていませんが、一気に成長した今のスイゼンジナを撮影しましたのでご紹介しますね。

雨が多いので、水やりは時々なのですが、長野県北アルプス山麓の標高600m付近とはいえ、ここのところ暑くて35℃近くにもなります。そのせいか、こんなにも茎が伸びました。

いただいた時には蕾は固かったのですが、今はもうすぐ咲き出すくらいに頭が黄色くなってきました。

「アサギマダラが好む香りってどんななんだろう」と、鼻を近づけてみたんですよ。でも私には微妙な香りが分かりませんでした。花には独特の匂いがあるようなんですけど、きっと私が鈍感なんでしょうね。

黄色い蕾の下には、まだちょっと固い蕾もありますね。

 

もう一つの枝の蕾も色づいてきました。

2、3日で咲くのでしょうか?

こっちはまだ固い蕾ですが、もうちょっとで先が色づきそうですね。

今年は初めて花を見ることができそうで、ほんとに楽しみです。

 

実は、長野県でスイゼンジナを育てているという人に10年以上前にお会いしましたが、お聞きするとハウス栽培だとのことでした。

葉っぱには栄養があってすぐれものの野菜みたいですが、北アルプス山麓は1月下旬から2月下旬にかけては氷点下10℃以下にもなり、土も凍ってしまいます。そんなところでは、ヒーターを入れたハウス栽培しかできません。

暖かい地方の植物を育てても、みんな家の中に入れないと越冬できないので、玄関前の廊下は鉢物だらけになってしまいます。そんな状況が数ヶ月続きます。

でも、「こんなところにもアサギマダラが来るかも知れない・・・」と、淡い希望を抱きつつ、今回は3回目の挑戦をしたというわけです。

育て方、増やし方も教わりました。冬の間は茎を斜めに切ってペットボトルに入れておくだけでいいんだそうです。確かに冬は水も腐りにくいので、頻繁に水の交換をしなくても良さそうですね。

その間に勝手に根が出るようです。ずぼらな私にもできそうです。

暖かな春になったら、土を入れた鉢に植えるのだそうで、そうやって枝の数だけ増えるのですね。とにかく何とかやってみます。

 

これとは別に、松本市の園芸店でスイゼンジナの別名の金時草も販売していたので一ヶ月ほど前に苗を求め、標高900mの朝日村の管理地に2株植えてみました。金時草は花が咲かないとお聞きしていたので、アサギマダラを誘引するかどうか分かりません。こっちはダメでもともとです。

金時草はどんなにスグレモノの野菜でも葉っぱを食べるのが目的ではなく、そこに頻繁に通えるわけでもないので、行った時に葉っぱを鑑賞するだけになりそうです。

スイゼンジナの方はまた時々報告できればと思っています。

ヒレハリソウ(コンフリー)に訪れた翅がボロボロのアサギマダラ:長野県朝日村

ヨーロッパ原産でムラサキ科の帰化植物ヒレハリソウ(コンフリー)をご存じでしょうか?明治時代に日本に入ってきて、家畜だけではなく人間も天ぷらなどで食用としていた過去の野菜です。そのコンフリーに近年アサギマダラが訪れており、今年もオスの個体を6月1日に確認しました。

(ヒレハリソウ(コンフリー)の周辺を舞う翅がボロボロのアサギマダラ♂:長野県朝日村 2022.6.1)

ボロボロになった翅の様子からして、きっと暖かい地方から、幾つもの山を越えて長野県にやってきた個体だろうと思われます。これがコンフリーの周辺に訪れた個体です。

コンフリーは、恐らく日本各地にどこにでもあるだろうと思いますが、長野県中央部の西側に位置する朝日村でも、どこということもなく点在しています。5月下旬から6月にかけて、薄紫の花を咲かせ、道端や耕作放棄地、家の庭のようなところでよく見かけます。

食べられると聞いていたので、過去に天ぷらにして食べたことがあります。ウドなどの山菜には独特の風味があるのですが、コンフリーにはクセがなく、美味しいわけでもまずい訳でもありませんでした。

でも、そのコンフリーはアルカロイドを含むということで近年は口にすることもないのですが、多年草なので抜かない限りその場所で毎年花を咲かせているのです。

実はそのコンフリーにアサギマダラが来ることを知ったのは2016年のことです。朝日村の実家の庭のコンフリーで、アサギマダラのメスが吸蜜していたからです。

(コンフリー(ヒレハリソウ)で吸蜜するアサギマダラ♀:長野県朝日村2016.6.1)

アサギML(メーリングリスト)で情報を流しましたところ、広島の本田計一先生から「そちらにまだ沢山生えているのなら、オスが集まるかどうかなど(刈り取って乾燥させた方がベター?)調べてみられると面白いと思います」と、お返事いただくことができました。

本田先生にお聞きしましたように、自宅の柿の木の下に、刈り取ったコンフリーの葉っぱを束にして吊るしておきました。コンフリー自体の葉っぱの匂いは、生よりは乾燥の方が強くなっているのを感じることができました。でも、吊るした時期が悪かったのか、山際の家ではないためなのか、アサギマダラは来ませんでした。

その後、北アルプス山麓周辺でコンフリー調べを行いました。行った先々で出会ったら写真撮影して記録した程度ですが、小谷村、大町市、生坂村、松川村、松本市、朝日村など、どこということなく点在するのですが、まとまってある訳でもなく、その周辺をアサギマダラが乱舞する訳でもありませんでした。

実家から持ってきた自宅のコンフリーは数年間そのままにしていましたが、アサギマダラが来ないために5、6株あった株を1株だけ残して昨年抜いてしまいました。

一方、実家の朝日村へは、時々庭や畑などの管理のために出向いており、葉っぱを乾燥させて吊るすまでもなく、コンフリーの枯れ葉は地面にそのままにして、放置していました。近所の家などにもコンフリーがあり、それもそのままの状態でした。

そうした状況の中、昨年5月25日、朝日村の実家の庭でコンフリーの周辺を舞うアサギマダラのオスを観察できました。花が咲き出してからのことです。

(コンフリー(ヒレハリソウ)の周りを飛翔するアサギマダラ♂初見:長野県朝日村2021.5.25)

吸蜜する訳でもないのですが、花の周辺や根元付近を何かを探しているかのようにぐるぐると回りながら舞っているのです。

(コンフリー(ヒレハリソウ)の周りを飛翔するアサギマダラ♂初見:長野県朝日村2021.5.25)

枯れ葉を根元にそのままにしていたので、その乾燥した匂いに引き寄せられたのかも知れません。

今年も草取りなどで朝日村通いを続けていますが、5月には期待していたアサギマダラを確認できないでいました。

しかし6月1日の昨日、庭に乗り入れた車に驚いたようにアサギマダラが一頭、舞い上がりました。その後どことはなしに姿を消してしまいました。また来るかも知れないと期待していた頃に、コンフリーの周辺を翅を忙しく動かして舞うアサギマダラを見つけ、撮影することができました。

(ヒレハリソウ(コンフリー)の根元付近を舞う翅がボロボのアサギマダラ♂2022.6.1)

昨年に引き続き、オスが2回来てくれました!

今年も、枯れて腐りかけたような葉っぱは根元周辺にそのままにしています。その匂いに惹きつけられたのでしょうか?

オオブタクサの新芽も伸び出している、そんな庭にも来てくれたことは嬉しいことです。ネットは車に入れていますが、カメラでの撮影が精一杯で、マークがないことを確認できただけです。

翅の下側がたくさん欠けて、ボロボロになっていました。きっと苦労しながらの北上の途中で立ち寄ってくれたのでしょうね。昨年より7日間遅い、6月に入ってからの確認でした。

長野県ではすでに軽井沢町、宮田村、小谷村、大町市、伊那市、大鹿村などから初見情報が寄せられています。さらに北海道奥尻島からの初見・標識情報も5月中に寄せられています。

引き続き国内各地で観察されたり、マーキングされたりするでしょうね。今後の皆さんからの情報を楽しみにしております。

このオスのアサギマダラにちょっと期待します。素敵なメスと出会えますように。

フジバカマが20cmほどに成長しました:長野県小谷村平間

長野県小谷村「おたりアサギマダラの会」の丸山里香さんから3日、フジバカマの新芽が、成長の早い場所で20センチほどに成長したという情報が飛び込んできました。同時に送っていただいたサクラの花と雪の北アルプスの画像がとっても綺麗です。こうした季節の移り変わりの中でのフジバカマの成長をご紹介させていただきますね。

小谷村平間のフジバカマ畑から見える北アルプスとサクラ:丸山里香さん提供

 

「平間の花畑へ行って来ました」という丸山さんのコメントをお読みください。

今朝までとても寒かったので北アルプスは新しい雪をかぶって白さが増しています。花畑の桜越しの北アルプスです。

フジバカマは斜面の方は20㎝くらいに、広い花畑はようやく芽が出揃って5㎝に。去年の切り株くらいの大きさになっていました。

寒いのでアサギマダラの飛来にはもう少しかかるかもしれません」。

 

日当たりの良い西向きの畑で20cmほどに成長したフジバカマ:丸山里香さん提供

 

一段上の畑で5cmほどに成長したフジバカマ:丸山里香さん提供

4日のニュースでは沖縄県が梅雨入りしたとのことですが、長野県小谷村は春本番です。4月10日に訪問した時にはまだ新芽も確認できなかったのに、3週間余りでフジバカマがこんなに成長したのですね。

雪解けのフジバカマ畑:長野県小谷村平間

もしかしたら、北上のアサギマダラが平間のフジバカマ畑に今年も立ち寄るかも知れませんね。

丸山さん、初見を確認しましたら、またご報告よろしくお願いいたしますね。楽しみに待っています。

フジバカマの成長:長野県宮田村の「アサギマダラの里」

長野県の笹木真由美さんから25日、同県宮田村の「アサギマダラの里」のフジバカマの画像をアサギマダラの会のブログに送っていただきました。宮田村は秋のアサギマダラを呼ぼうと、「フジバカマ里親制度」を2015年にスタートさせ、フジバカマの管理を里親たちに委託しています。その里親の一人となっている笹木さんは、秋のアサギマダラが来るまで、個人に委託されたフジバカマの世話をしています。フジバカマがどのくらい成長したのかご覧ください。

 

笹木真由美さん提供 アサギマダラの里のフジバカマ

宮田村の「アサギマダラの里」は標高774mで、南北に細長い長野県の比較的南側に位置しており、アサギマダラの里(北緯354501秒 東経1375422)には看板も設置されています。

 

笹木真由美さん提供 アサギマダラの里

笹木さんから寄せられた情報です。
「フジバカマの新芽は20センチくらいに伸びている所もありました。私が管理させて頂いている区画は、まだ数えるくらいしか新芽が出ていなくて、10日前の一斉草刈り作業の時とほとんど変わりがありませんでした。草と見分けが付かず、うっかりフジバカマの新芽をいくつか抜いてしまいました(汗)。早く大きく元気に伸びてほしいです」。

笹木真由美さん提供 アサギマダラの里のフジバカマ

「4月25日 午後3時半 晴れ 気温25℃(小学生が半袖半ズボンで下校しているくらい暑かったです)」。
笹木真由美さん提供 アサギマダラの里のフジバカマ
笹木真由美さん提供 アサギマダラの里のフジバカマ
「またフジバカマの様子を見に行ってみますね」とのこと。
フジバカマは結構成長して大きくなっていますね。
草取りなど管理が大変でしょうが、こうして写真をたくさん撮影してご提供してくださった笹木さん、またアサギマダラの里の様子を楽しみにしていますね。有難うございました。

フジバカマの新芽が出ました:長野県小谷村平間

九州方面からアサギマダラの初見情報が寄せられていますが、各地のアサギマダラの食草や吸蜜植物の成長具合も気になるところですね。

長野県小谷村のおたりアサギマダラの会の赤沼志保さんと4月10日に、小谷村に行った時には、「雪解けのフジがカマ畑:長野県小谷村平間」に書きましたように、まだ秋の訪花植物の一つでもあるフジバカマの新芽を確認できませんでした。

雪解けのフジバカマ畑:長野県小谷村平間

しかし、19日に丸山里香さんが平間の花畑に出向いてくださり、こんな情報を寄せてくださいました。

「今日平間のフジバカマの様子を見てきました。
西側斜面の花畑で3センチ位の芽が出ていました。
上の段の大きな畑は雪解けが遅かったようでまだ芽が出ていません」。

画像も添えられていました。枯れた茎の間からニョッキリと顔を出していますね。

《丸山里香さん提供》

丸山さんは「吉澤さんに初見日の話をして見かけたら日時を知らせてくださいとお願いしてきました」とのこと。吉澤さんは、フジバカマ畑のオーナーです。

長野県にもアサギマダラが来るのが楽しみですね。5月連休明け頃からかしらね?

丸山里香さん、情報提供を有り難うございました。

雪解けのフジバカマ畑:長野県小谷村平間

こんにちは。初めまして。

長野県の田原です。よろしくお願いいたします。

鹿児島県屋久島からは、アサギマダラの標識情報が届いていますが、雪解けの長野県小谷(おたり)村平間にあるフジバカマ畑の様子をご紹介いたしますね。アサギマダラ仲間の赤沼志保さんと4月10日訪ねてみました。

小谷村は長野県北部に位置する新潟県境の村です。まだ所々に雪が残っていましたが、フクジュソウと一緒にスプリングエフェメラルのアズマイチゲ、キクザキイチゲなどの花が咲きだしていました。

おたりアサギマダラの会の丸山里香さん(左)と赤沼志保さん

まずは会長の丸山里香さんにお会いし、今季の積雪をお聞きしてみました。何と言っても小谷村は長野県下有数の豪雪地帯だからです。

丸山さんは「この竹竿が隠れるほど積もった」と、畑に立てた竹竿の横に立って下さいました。竿は少なくとも地上1.8mはあります。どうやら2mほどの積雪があったようでした。驚異的な雪の量ですね。

でも、そのような小谷村でも、2021年のアサギマダラの長野県外への移動記録は81例(77個体)と、長野県内の市町村でトップだったのです。

その理由は、当然アサギマダラが移動して、各地の皆さんによって再捕獲されたからに他なりませんが、丸山さんが引き受けてくださっている、村内の関心ある皆さんの代理を含むたくさんの報告のご苦労と、赤沼さんを含む会員たちが行っているフジバカマの植え替えや畑とその周辺の維持管理があってのことなのです。

さて、丸山さんに話をお聞きした後、赤沼志保さんとおたりアサギマダラの皆さんが管理している平間のフジバカマ畑に行ってみました。オーナーの吉澤忠さんともお会いでき、お話をお聞きすることができました。

「今年は雪が多くて、2メートルも降ったよ。今日、信男君たちが、野焼きをしてくれたよ。フジバカマはまだ新芽が出ていないけど、きっともうすぐだよ・・・」と、吉澤さんは足の痛さも忘れて畑を案内して下さいました。

フジバカマの新芽を待つオーナーの吉澤忠さんと、赤沼志保さん

この畑のあるところからは、北アルプスの爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳が見えます。画像で奥にうっすら見えているのがそれです。

さらに、畑の下の方にはJR西日本大糸線の線路も走ります。実は赤字路線のため、そろそろ廃線になるという話も出ています。その線路脇には、日本海につながる姫川も流れているんです。実に見晴らしの良い畑なんです。

野焼き後の土手

上の画像は一段上の畑の土手です。芝のような土手の一部が黒っぽく見えるでしょう。当日朝、会員が野焼きをしてくれたそうです。野焼きは、地上の害虫の卵などを駆除する効果があるようで、北アルプス山麓の各地で、3月下旬から4月にかけて行われています。

フジバカマの株の脇に咲くアズマイチゲ

フジバカマ畑には、スプリングエフェメラルのアズマイチゲが咲いていました。まだフジバカマの新芽は出ていませんでしたが、愛らしい花ですね。

雪解けのフジバカマ畑

フジバカマは5株ほどを一緒に植えます。花が終わった秋には刈り込みますので、株だけがわずか10センチほど残ります。見えますね。実はこうした株に春の北上のアサギマダラが来ることがあるそうなんですよ。これは一段上の畑です。

新芽を探す赤沼志保さん

この日は20℃以上の気温となり、とっても暖かく、たくさんの花が一斉に咲き出していました。黄色いフクジュソウ、白いアズマイチゲ、白や薄紫のキクザキイチゲ、薄紫のタチツボスミレ、フキノトウ・・・。待ちに待った春の始まりですね。

フジバカマ畑に咲くアズマイチゲ

この畑は斜面になっています。一番最初に吉澤さんが一人でフジバカマを植えた畑です。

2年後くらいでしょうか、おたりアサギマダラの会ができました。会員たちによって写真の右上に見える土蔵の左側(野焼きの土手の下の平な畑)にもフジバカマを増やしました。フジバカマが増えたからでしょうか、2020年、2021年とアサギマダラの乱舞を経験しました。

4人で一日中マーキングしても、まだまだたくさんのアサギマダラが舞っていました。会員たちも吉澤さんも大喜びしたことは間違い無いのですが、実はそれだけではなく、2020年には台湾での再捕獲も経験しました。

そんな小谷村から丸山さんと赤沼さんが、またフジバカマ情報などを発信してくださると思います。楽しみですね。

各地の情報もぜひお寄せ下さい。

2022年4月12日