迷子のアサギマサラ2「ナガノ NHP」「のっぺ NHP」どこから来たの?

迷子のアサギマダラの続編です。

アサギマダラの全国調査をしているMasuzawaさんから、「ナガノ」マークの迷子のアサギマダラに関係して、画像と追加情報を提供していただきました。

追加情報として、以下の「ナガノ」マークも2023年に再捕獲されていました。

「ナガノ」マークは、全国各地で再捕獲されているようですが、いまだに標識者も標識地も判明いたしません。長野県内での標識だろうと思われますし、「NHP」は標識者のマークと思われます。

お心当たりの方はコメント欄などでぜひご一報をお願い致します。

迷子のアサギマダラ:「ナガノ 八町」「ナガノ アリ川」「ナガノ タカ山」どこから来たの?

アサギマダラの再捕獲情報でフェイスブックやメーリングリストなどが賑やかですね。この時期には関西方面や九州、四国のみならず、南西諸島や台湾からの報告も始まりましたので、マーカーの皆さんは、ワクワクしているのではないでしょうか。

再捕獲情報があっても、残念ながら標識者にまでたどり着かない情報が毎年いくつも出ています。こちらのマークもそうです。

ナガノ 八町」は、2023年10月28日に徳島県で,「ナガノ アリ川」は、2023年10月24日に高知県で再捕獲されています。

正式な再捕獲情報は出ていませんが、8月の標識と思われる「ナガノ タカ山」マークの問い合わせもありました。

しかし、標識した場所も、誰のマークなのかも、さっぱり分かりません。ご存じの方はいらっしゃいますか?

「ナガノ」マークは、今まで長野県外に在住の方が長野県に来てマーキングする時などで使われていました。地元の皆さんはすでにご自身と何年も前からある標識地のマークを使っていますので、「ナガノ」を使う必要もないわけです。

もしかしたら「ナガノ」は地名ではなく、長野さんか永野さんかも知れませんね。よくあることですけど・・・

さらに地名らしき「八町」ですが、「下八町」は須坂市にある地名で、そこではマーキングができるようにフジバカマが植えられています。しかし、地元の皆さんのマークではないので、どうもそこでもなさそうです。

アリ川」は地名かどうかは不明ですけれど、「タカ山」は、長野県の高山村の可能性も否定できません。

書き方の特徴からして、同じ方のマークだろうと思われますが、きっと長野県内のあちこちに行かれて、そこで出会ったアサギマダラにマーキングしていた可能性もありますね。何箇所かで再捕獲や確認がなされていますので、数としても百頭以上の個体にマーキングされておられるのだろうと思われます。

実は、アサギマダラの移動調査が始まった40年前には、マークが付いたアサギマダラを再捕獲して、何年も掛けて標識者を探し出したという記録があります。その記述を読んだときには、とっても胸が熱くなりました。

そのアサギマダラがどこから来たのか、だれがマーキングしたのか、必死に探したのは、標識者に、「あなたが標識したアサギマダラを再捕獲しましたよ」という情報を届けたかったことと、調査している者も、マークを持ったチョウがいったいどこから来たのかを熱烈に知りたかったからに違いありません。

でもマーキングが一般的になった近年は、情報が多すぎて手が回らないのが現状となってきているのかも知れません。

また、当初のマーキングはアサギマダラの移動調査という目的があってのことでしたが、現在はその目的や動機も、40年前とは変わってきたのかも知れません。

いずれにしても迷子のアサギマダラは毎年数え切れないほど出続けています。これらもその中の一つです。でも再捕獲者や関係者はどこから来たのだろう、だれがマーキングしたのだろうと、標識者が名乗り出てくださるのを待っています。

移動情報は貴重な記録のひとつとして、アサギマダラの会でデータを保存させていただき、相応しい方法で活用させていただいております。マーキングされた方には、ぜひ応えていただきたい願っています。

また、マーキングする方には、ぜひ登録してマーキングしてほしいと願っています。再捕獲を期待してのマーキングでしょうが、再捕獲があっても、登録されていないと、連絡のしようがありません。

「ナガノ 八町」「ナガノ アリ川」「ナガノ タカ山」をご存じの方がいらっしゃれば、情報を提供していただけたら有り難いです。よろしくお願いいたします。

この時期、山に行くときには「虫刺され用の薬」をお忘れなく!

久々に昨日松本市の美ヶ原林道に行ってきました。ヨツバヒヨドリも咲き、アサギマダラもいるのですが、アブやハエ、スズメバチが寄ってきて大変でした。

車を止めてドアを開けるだけでどっと押し寄せるように入ってくるのです。そして洋服の上からもズボンの上からも長い針でチクリと刺すんですね。素手で叩き潰したアブもいましたが、追い払うのにも大変でした。

そこでお願いですが、どうか夏山に行くときには、虫刺され用のお薬を持参してください。

当日は夢中でマーキングや撮影をしていたためか、痛さも痒さも感じなかったのですが、朝になって体のあちこちが痒く、無意識に手が患部を掻いているんですね。そこで早速、昨年スズメバチに刺されたときに処方していただいた薬を取り出し、何箇所かに塗りました。今は痒みが収まっています。

今頃の時期は、春に北上してきたと思われる、翅が傷ついたようなアサギマダラに出会えますし、近くで羽化したと思われるピカピカのアサギマダラにも出会えます。

そんななので夏の時期は感動も多いのですが、アブやハチにはぜひ用心してください。お子さん連れの皆さんは時に、虫刺されの薬を持っているだけで、ちょっと安心ですね。

マークが付いたアサギマダラにも出会えるかもしれませんが、ぜひお気をつけて、山のアサギマダラのマーキングや観察、そして撮影を楽しんでください。素敵な経験ができますように。

アサギマダラの ♡ ハートマーク ♡

アサギマダラの斑紋をまじまじと見たことがありますか?どこにマーキングしようかな〜などと、鱗粉の少ないところを探すことはあっても、白い斑紋にはあまり目を留めないかも知れませんね。

でも、個体を識別する時には、斑紋で区別するようなことがあるでしょう。黒や茶色の地の中に点々と描かれた白い斑紋を見ますよね。

個体によって斑紋が微妙に違い、それぞれの個性でもあるかのように見えてしまいます。私が時々注意して見ているのが、このハートマーク「♡」なんです。

上の画像は後翅の一部ですが、白い ♡ ハートマークが分かりますか?

翅の全体はこんな感じです。

別の個体ですが、矢印の方向に ♡ ハートマークが分かりますね。

さらに別の個体ですが、この個体にも ♡ ハートマークがありました。

さらにさらに、松本生まれでもあるかのような新しい個体の♡マークがあったので、追加します。

でも、すべてのアサギマダラにハートマークがあるわけではないんです。ハートの位置に斑紋がなかったり、内側の斑紋にとけ込んでしまったり、形がいびつな個体も多く目に付きます。

きれいな ♡ は、実は少ないんです。

マーキングしながら、またある時には撮影をしながら、ぜひハートマークを探してみてください。

ハートマーク ♡ は、美味しい蜜をたっぷり吸っているアサギマダラからの、ほんのちょっぴりの感謝の気持かも知れませんね。

12月1日現在の「アサギマダラの再捕獲:2022」

台湾からの移動と台湾への移動を含む、今年の全国でのアサギマダラの再捕獲をマッチングしてみました。

 

グラフの下にも書いておきましたが、2022年12月1日24時現在です。

大阪市立自然史博物館のアサギML(メーリングリスト)に寄せられたデータの集計ですが、手作業でやっていますので、集計ミスもあると思います。

2022年に標識された個体が対象で、再々捕獲は2例、再々再捕獲は3例扱いしており、合計924個体による936例です。

記録中や、標識者不明個体なども含めています。

暖かい地方では、まだまだアサギマダラを見ると思います。翅にマークが付いたアサギマダラに出会いましたら、可能でしたら捕獲し、写真を撮り、ぜひご報告ください。

皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。

最近のアサギマダラ関連のWebニュース 10月-11月

最近のアサギマダラ関係のWebニュースです。
皆さんの活躍は励みになりますね。
【アサギマダラ、1734キロの旅 山形の遣水さん放し、蔵王から沖縄へ】2022年11月27日
Yahoo!ニュース
【アサギマダラの長旅見守る 龍郷小 マーキング活動で生態学ぶ】2022年11月18日
南海日日新聞社
Yahoo!ニュース
【旅するチョウの飛来地見学 香港から上富田と串本へ】2022年11月16日
AGARA 紀伊民報
【アサギマダラ1400キロの旅 山形発、和歌山経由で鹿児島へ】2022年11月10日
AGARA 紀伊民報
【「お接待の心」で、旅する蝶・アサギマダラを迎える人たち 瀬戸芸開催中の香川に飛来】2022年10月29日
Yahoo!ニュース
【喜界島・奄美大島でマーキング】2022年10月24日
奄美新聞社
【アサギマダラ飛来確認 石川県から、今シーズン初 チョウ研究の福島さんが捕獲 喜界島】2022年10月20日
南海日日新聞社

「台湾での再捕獲を含むアサギマダラ再捕獲例数 2022」11月4日正午現在

各地でアサギマダラが少ないとお聞きした今季ですが、皆さんのところではどのくらいのアサギマダラと出会い、どのくらいに標識し、どれだけの再捕獲ができたでしょうか。集計上のミスもあると思いますが、今季の全国データのマッチングをしてみましたので、とりあえずグラフから見てみましょう。

2022年11月4日正午時点で一旦メール集計を締め切り、再捕獲数をグラフ化してみました。数字は、今年標識して報告があったアサギML(メーリングリスト)の【再捕獲情報】を元にしていますが、再々捕獲、再々再捕獲なども【移動情報】を通して報告されていますので、再々捕獲は2例、再々再捕獲は3例で計算しています。この中には標識者不明個体も含めています。

今季は、4月から【再捕獲情報】の報告が始まりましたが、3月20日に鹿児島県喜界島で標識した個体が423日に徳島県阿南市で再捕獲されました。

その後北上個体が次々と各地で再捕獲され、鹿児島県、宮崎県、福岡県などで標識されたアサギマダラが、大分県、徳島県、京都府、三重県、山口県、島根県、富山県、長野県などで4月から5月にかけて再捕獲されるようになりました。

6月には兵庫県、東京都などでの再捕獲もあり、兵庫県で標識された個体が石川県で撮影されたというデータも報告されました。

報告数が少ない時期の7月に、鳥取県内の移動が2例確認されたり、福島県から栃木県への移動もあったりして、夏の移動は面白いなと思いました。

8月で目立ったのは富士山周辺の移動で、静岡県から山梨県への移動が多く記録されました。富士山を飛び越えているのか、あるいは迂回しているのか・・・想像するだけで実に面白いと思いましたし、北海道函館山で、どこから来たのかわからない「8.6 NW」が撮影されています。標識者の方、貴重な記録となりますので、どうか申し出ていただければと思います。

9月からはアサギマダラの南下の移動が始まったようで、数字的にもぐっと増えていますね。

10月には台湾からの再捕獲の報告もあり、例年のこととは言え、10月のメール数はハンパではなく、556例の再捕獲や再確認の情報が寄せられました。この集計のも若干のミスがあるかもしれません。

メーリングリストでは、この後も今に至るまで【再捕獲情報】と【移動情報】がどんどん報告されていますので、数字は日毎に増え続けています。

アサギマダラが少ないと言われた今季ですが、全国の皆さんの努力で、少なくとも730例以上の再捕獲に関係したデータがこの時点で寄せられているのは嬉しいことですね。

学術的にも貴重なデータとなりますので、ぜひ今後ともマークのあるアサギマダラを見ましたら、捕獲か撮影をして、【再捕獲情報】や【再確認情報】をお寄せいただければと思います。

途中経過ですが、今季の様子を一部お知らせいたしました。

近年の「東北・関東地方から長野県へのアサギマダラの移動」のグラフを作ってみました。

「今年のアサギマダラは少ない」と、あちこちからそんな声をお聞きしています。皆さんのところはどうでしょうか?

東北方面からは「今年のアサギマダラの飛来数が非常に少ない」と、お聞きしていましたし、長野県内でも、私が調査で通っていたエリアでも昨年に比べて非常に少なく感じていました。

理由は分かりませんが、近年の異常気象が昆虫たちに影響しているのか、あるいは寄生ハエや寄生ハチにやられたのか、それともウイルスなのか・・・?

昆虫たちは毎年一定して発生しているわけではありませんし、長い年月消長を繰り返し、今に至っているわけですね。アレヤコレヤと想像はしてみても、原因までは分かるわけもありません。

そこで、何かの参考になるかも知れませんので手持ちデータからグラフを作ってみました。長野県のデータがどのくらい参考になるかは分かりませんが、長野県は本州のほぼ中央に位置しますのでちょっとした参考程度にはなりますね。

今回は、「東北・関東地方から長野県へのアサギマダラの移動 2014-2022年」です。

【移動情報】を元にしたグラフですが、信憑性のないものは一部除外しているものもありますし、再々捕獲は2例として扱っています。

実際の再捕獲数はもっとありますが、【移動情報】が出ていないものは除外しています。

実は、今年はアサギマダラのマーキングの時期に他のチョウも非常に少ないと感じました。例年ではミドリヒョウモンやメスグロヒョウモンは数え切れないほどアサギマダラの吸蜜するヨツバヒヨドリなどに群れるのですが、今年はポツンポツンといた程度でした。

時期的なものもあるのでしょうけれど、逆に、大小のアブが多かったです。車にも入ってきて大変でした。

皆さんのところはどうでしょうか?

グラフは今年の10月10日現在ですので、【移動情報】が出れば、若干変更することもありますので、ご了承ください。

次回は中部地方から長野県への移動グラフを掲載します。