【「WK TM」の標識者を探しています。徳島県・鹿児島県などで幾つも再捕獲】
迷子のアサギマダラのご案内です。
昨年から「WK TM」と思われるマークのアサギマダラが、徳島県や鹿児島県で幾つも再捕獲されています。
標識者がわからないためにただ迷子になっています。ご存じの方はいらっしゃいませんか?

上の画像は、2021年10月30日、徳島県海部郡美波町阿部で再捕獲されたアサギマダラです。([asagi:02697]【再捕獲情報】より)
「WK TM」の特徴ですが、「WK」は横書き、でも「TM」は、まるで作った記号でもあるかのように、TとMは上下の表記となっています。何箇所かで再捕獲された画像から、恐らくTMだろうと判断しています。
「TM」の右横には「-〇〇〇」と、個体の通し番号が記されています。今年11月に鹿児島県喜界島で再捕獲された個体には「-930」と書かれており、([asagi:05928]【再捕獲情報_73】)、昨年、徳島県で再捕獲された個体には、上の画像のように「-492」と、500に近い番号があります。
画像から、この個体は、上から「10/24 WK T M -492」と書いてあると思われます。
通常、何百頭ものアサギマダラに標識する人は、大阪市立自然史博物館のアサギMLに登録してマーキングします。登録しないと、どこかで再捕獲されても、情報が何も入ってこなく、やっていることが無意味になってしまうからです。
でも、このマークの方は、アサギMLには登録していない方だろうと思われます。再捕獲情報が出ても、昨年も今年も、何の反応もないからです。
ご存じの方はアサギマダラの会のこのブログのコメントでも結構ですし、Facebook アサギマダラ・マーカーの広場でも結構ですので、情報を入れていただけますか。
よろしくお願いいたします。
「台湾での再捕獲を含むアサギマダラ再捕獲例数 2022」11月4日正午現在
各地でアサギマダラが少ないとお聞きした今季ですが、皆さんのところではどのくらいのアサギマダラと出会い、どのくらいに標識し、どれだけの再捕獲ができたでしょうか。集計上のミスもあると思いますが、今季の全国データのマッチングをしてみましたので、とりあえずグラフから見てみましょう。

2022年11月4日正午時点で一旦メール集計を締め切り、再捕獲数をグラフ化してみました。数字は、今年標識して報告があったアサギML(メーリングリスト)の【再捕獲情報】を元にしていますが、再々捕獲、再々再捕獲なども【移動情報】を通して報告されていますので、再々捕獲は2例、再々再捕獲は3例で計算しています。この中には標識者不明個体も含めています。
今季は、4月から【再捕獲情報】の報告が始まりましたが、3月20日に鹿児島県喜界島で標識した個体が4月23日に徳島県阿南市で再捕獲されました。
その後北上個体が次々と各地で再捕獲され、鹿児島県、宮崎県、福岡県などで標識されたアサギマダラが、大分県、徳島県、京都府、三重県、山口県、島根県、富山県、長野県などで4月から5月にかけて再捕獲されるようになりました。
6月には兵庫県、東京都などでの再捕獲もあり、兵庫県で標識された個体が石川県で撮影されたというデータも報告されました。
報告数が少ない時期の7月に、鳥取県内の移動が2例確認されたり、福島県から栃木県への移動もあったりして、夏の移動は面白いなと思いました。
8月で目立ったのは富士山周辺の移動で、静岡県から山梨県への移動が多く記録されました。富士山を飛び越えているのか、あるいは迂回しているのか・・・想像するだけで実に面白いと思いましたし、北海道函館山で、どこから来たのかわからない「8.6 NW」が撮影されています。標識者の方、貴重な記録となりますので、どうか申し出ていただければと思います。
9月からはアサギマダラの南下の移動が始まったようで、数字的にもぐっと増えていますね。
10月には台湾からの再捕獲の報告もあり、例年のこととは言え、10月のメール数はハンパではなく、556例の再捕獲や再確認の情報が寄せられました。この集計のも若干のミスがあるかもしれません。
メーリングリストでは、この後も今に至るまで【再捕獲情報】と【移動情報】がどんどん報告されていますので、数字は日毎に増え続けています。
アサギマダラが少ないと言われた今季ですが、全国の皆さんの努力で、少なくとも730例以上の再捕獲に関係したデータがこの時点で寄せられているのは嬉しいことですね。
学術的にも貴重なデータとなりますので、ぜひ今後ともマークのあるアサギマダラを見ましたら、捕獲か撮影をして、【再捕獲情報】や【再確認情報】をお寄せいただければと思います。
途中経過ですが、今季の様子を一部お知らせいたしました。
アサギマダラ関係の最近のWebニュース:2022年10月28日
山形から660キロの旅 和歌山県上富田町にアサギマダラ:紀伊民報・yahoo!ニュース 2022年10月25日
鹿児島県喜界島・奄美大島でマーキング 「少なめ、飛来遅れか」 千葉県の安川さん 長野、和歌山からの移動も確認 アサギマダラ秋の渡り:株 奄美新聞社 2022年10月25日
長野県からはるばるアサギマダラ 田辺市龍神で確認:紀伊民報 2022年10月19日
再捕獲があることで、アサギマダラの謎が少しずつ解明していくのは楽しみですね。
そして、皆さんの活動は励みになります。
引き続き、アサギマダラの再捕獲をよろしくお願いいたします。
近畿地方より南から長野県へのアサギマダラの移動 2014-2022年
グラフついでに、「近畿地方より南から長野県へのアサギマダラの移動 2014-2022年」をご紹介します。

主に5月から6月にかけて、北上のアサギマダラが南の暖かい地方から長野県にやってきます。ほぼ毎年、山などで再捕獲されています。
南の温かい方面の皆さんがマーキングしたアサギマダラが北の方で再捕獲されるケースは非常に少ないので、ここに掲載したのはとっても貴重なデータです。
長野県内での記録としては、2017年と2018年には3例の北上の再捕獲がありました。今年も2例の再捕獲が記録されました。
どこから来ているのかは色を見てください。紺色は鹿児島県からです。屋久島町からは、2017、2018、2019年と3年連続で3例が記録されました。さらに2018年には、西之表市の5月のマークが6月と7月に記録されています。どちらも島ですので驚きですね。
今年は徳島県からの2例の移動が記録されました。水色がそれです。
各地の皆さんが頑張っておられるので、こうした移動が明らかになっていますが、その努力は半端ではないと思われます。
今年の個体数が多い少ないとは直接は関係ないと思いますが、ご紹介させていただきました。
中部地方から長野県へのアサギマダラの移動 2014-2022年
今回ご紹介するのは「中部地方から長野県へのアサギマダラの移動 2014-2022年」です。
長野県内で再捕獲されて、移動情報までこぎつけたデータをグラフ化してみました。

このグラフも、前回のグラフ同様、実際の再捕獲数はもっとありますが、【移動情報】が出ていないもの、信憑性のないものは一部除外し、再々捕獲は2例として扱っています。
移動情報の全体数から見ますと、2022年は非常に少なく見えます。10月10日現在、2021年の73に対して2022年は6分の1の12の移動情報でした。
中部地方の真中付近にあるのが長野県ですが、県内移動が多いのは、距離的に見ても納得いきます。緑色がそれです。南北約200km、東西約100kmの長野県で、100km前後の報告はよく見ます。
早い時には5月下旬から長野県内でアサギマダラの姿を見るようになりますが、5、6月の再捕獲の多くは暖かい地方からの移動です。
7、8月にはアサギマダラは標高の高い山に移動しているようで、その頃の再捕獲情報の中には、周辺の中部地方からの移動がわずかにあります。
では、移動情報が数として一番多いのはいつでしょうか。実は9月以降です。長野県を取り巻く中部地方からの移動もありますが、先日のグラフでご紹介した東北、関東地方からの移動が多くを占めています。
その背景には、アサギマダラが南下の時期に入ることもあるでしょうが、皆さんの頑張りも無視できません。
そのことも考慮すべき重要な要素の一つですので、今年はアサギマダラが少なかったと感じたことと、グラフが単純に一致しているとは言い切れないかも知れませんが、ご参考程度に見ていただければと思います。
そして、今年各地で発生した線状降水帯による大雨とか、6月後半以降の記録的な高温が、卵から幼虫、蛹にかけてのアサギマダラにどのように影響したのかは分かりませんが、涼しいところや安全な場所に移動することもできない段階で大きな打撃を受けなかったとは言い切れないのかも知れないと、素人ながらに思いました。
次回は、「近畿地方より南から長野県へのアサギマダラの移動 2014-2022年」をご紹介します。
近年の「東北・関東地方から長野県へのアサギマダラの移動」のグラフを作ってみました。
「今年のアサギマダラは少ない」と、あちこちからそんな声をお聞きしています。皆さんのところはどうでしょうか?
東北方面からは「今年のアサギマダラの飛来数が非常に少ない」と、お聞きしていましたし、長野県内でも、私が調査で通っていたエリアでも昨年に比べて非常に少なく感じていました。
理由は分かりませんが、近年の異常気象が昆虫たちに影響しているのか、あるいは寄生ハエや寄生ハチにやられたのか、それともウイルスなのか・・・?
昆虫たちは毎年一定して発生しているわけではありませんし、長い年月消長を繰り返し、今に至っているわけですね。アレヤコレヤと想像はしてみても、原因までは分かるわけもありません。
そこで、何かの参考になるかも知れませんので手持ちデータからグラフを作ってみました。長野県のデータがどのくらい参考になるかは分かりませんが、長野県は本州のほぼ中央に位置しますのでちょっとした参考程度にはなりますね。
今回は、「東北・関東地方から長野県へのアサギマダラの移動 2014-2022年」です。

【移動情報】を元にしたグラフですが、信憑性のないものは一部除外しているものもありますし、再々捕獲は2例として扱っています。
実際の再捕獲数はもっとありますが、【移動情報】が出ていないものは除外しています。
実は、今年はアサギマダラのマーキングの時期に他のチョウも非常に少ないと感じました。例年ではミドリヒョウモンやメスグロヒョウモンは数え切れないほどアサギマダラの吸蜜するヨツバヒヨドリなどに群れるのですが、今年はポツンポツンといた程度でした。
時期的なものもあるのでしょうけれど、逆に、大小のアブが多かったです。車にも入ってきて大変でした。
皆さんのところはどうでしょうか?
グラフは今年の10月10日現在ですので、【移動情報】が出れば、若干変更することもありますので、ご了承ください。
次回は中部地方から長野県への移動グラフを掲載します。
ウスバキトンボの全国調査が始まったようですよ!
赤とんぼとよく勘違いされる「ウスバキトンボ」。実はアサギマダラみたいに長距離を移動しているそうです。
熊本県の益田勝行さんから先日、ウスバキトンボの全国調査が始まったと連絡をいただきました。
益田さんによると「ウスバキトンボは熊本辺りではお盆の頃に、街中の公園等でも沢山見られ、一番市民に身近なトンボかもしれません」とのこと。
「マーキングをやってみました」と、画像も提供してくださいました。

マークは8月21日の「キF2」。
「ウスバキトンボ全国マーキング調査」のホームページもあります。
https://sites.google.com/view/usubaki/
NHKの「ダーウィンが来た!」で8月28日、2分間の放送があったようです。ご覧になった方も多いでしょうね。
https://www.nhk.jp/p/darwin/ts/8M52YNKXZ4/blog/bl/p9oerqkz41/bp/pMjVEPW75M/
全国マーキング調査のホームページによると、9月8日朝現在、6600頭あまりのウスバキトンボにマーキングがなされ、24頭の再捕獲が報告されています。0.36%の確率なので、再捕獲は近距離かも知れませんね。
益田さんの言われる「一番市民に身近なトンボ」。そう思って、よく通う長野県松本市の東山にある標高1400mから1800m程度の美ヶ原の林道沿いでアサギマダラ調査のついでに探してみました。でもアキアカネは楽に発見できるのに、ウスバキトンボを見つけることはできませんでした。
ところが先日、松本盆地の西側の朝日村の標高900mほどの所に行った折に、空中を舞うアキアカネよりもちょっと大きめのオレンジ色っぽいウスバキトンボを発見しました。最近山ではアキアカネばかり見ていたので「大きい!」と感じました。
ウスバキトンボを探すのって、視線を下向きではなく、ちょっと上向きにしないと見えてこないですね。遠くの山や空の雲に目が行くのに、どうやら私は、目の前を舞う小さな昆虫たちを無視していたようです。
そこで近年撮影したトンボの画像を探してみました。残念ながらウスバキトンボの画像は私の撮影データフォルダの中では見つけることができませんでした。それもそのはず、ほとんど目線を横か下に向けていたのですから。
「ウスバキトンボはあまり止まらない」と後で知るのですが、どうやらそれほど休むこともなく舞い続けているようですね。静止画像は「ウスバキトンボ全国マーキング調査」のホームページにあります。体を水平にして止まる訳ではないようです。上のリンクからご覧になってください。
私は長野県なので、フィールドではいろんな生き物たちに出会います。当然トンボも出会うと時々カメラのレンズを向けてきました。しかし飛翔個体の撮影は非常に難しくて、あんなに大きなオニヤンマでさえも苦労しています。何度も何度も目の前を往復してくれるのにです。
まして空中を舞い続けるウスバキトンボにはレンズを向けることもなく、撮影していたのは木の枝などに止まっている赤とんぼだけだったのです。しょぼんとなりますね。
そんな訳で生体などの詳細は当然私にはわかりません。でもアサギマダラのように、どこかで再捕獲されたら、分からないことがどんどん分かっていくのでしょうね。
今回はウスバキトンボも移動性昆虫のひとつとして非常に興味深いなと思いましたので、ご紹介させていただきました。
益田さん、情報提供を有難うございました。
ほんのり色づいてきたフジバカマ:長野県宮田村
猛暑の夏に、秋の兆し見え始めたようです。長野県宮田村にあるアサギマダラの里のフジバカマが色づいてきたと、笹木真由美さんが画像を送ってくださいました。「まだつぼみですが、全体的に見るとほんのり淡いピンク色の景色がきれいです」。



笹木さんによると、宮田村付近では「コオロギが鳴いています。お盆を過ぎると朝晩は涼しくて気持ち良いです」とのこと。信州の秋の入り口らしい雰囲気になってきましたね。
花だけではなく、一番下の画像の空にも注目してください。この空に浮かぶのは筋雲でしょうか。上空に冷たい風が流れている証拠でしょうね。
宮田村では「第7回 全国アサギマダラサミット&フェス in 宮田」を9月17日(土)・18日(日)に計画しています。
その頃になるときっとアサギマダラの里のフジバカマが満開になって、たくさんのアサギアマラを引き寄せるでしょうね。楽しみですね。
笹木さん、情報と画像を有難うございました。
挿し芽のスイゼンジナに根が出てきました:長野県北アルプス山麓
またまたスイゼンジナの話で恐縮です。
茎をカットしてペットボトルに入れておけば根が出るとお聞きしていましたので、早速挑戦してみました。長野県とは言え毎日30度超えが続く夏のちょっと涼しい室内です。季節的に良いのか悪いのかも分かりませんが、何と言っても挑戦ですから季節は問いませんよね。

7月23日に例の株から一本の茎をカットし、下の葉っぱを数枚取り除き、写真のように水だけ入れたペットボトルに挿しておきました。葉っぱも捨ててはもったいないので、小さな瓶に入れて様子を見ていました。
8月1日。何か白いものが茎から出ているような・・・でも根とは思えないし・・・そんな訳で写真も撮らなかったのですが、2日によくよく見ると白い根が伸びているのを確認できました。
それぞれを拡大してみますね。

茎から数ミリの根が出ているのが見えるでしょう。やっぱ、根だったんですね。何もしないで放っておいて10日目です。
もう一方の葉っぱの下の葉柄からも根が出ています。この方が分かりやすいですね。

まさか葉っぱからも根が出るとは思わなかったのですが・・・ひとつの葉っぱからこんなにもたくさんの白い根が出ていました。
翌日の3日(11日目)の画像から、根の成長の速さをご覧ください。たった一日でこんなに伸びるんです。しかも夜の間に伸びていたんです。

葉柄の方はこちらです。

別の葉っぱからも短いですが根が出ていますね。たった一晩で数ミリの根が伸びました。ちょっと感動的ですよね。
根を出させるためには光を遮断しないといけないのかなとか、水を毎日替えないといけないのかなとか、実は色々考えたんです。でもアサギマダラの調査で山に通うことで忙しくて、そう立派な言い訳をして、放って置いたらこんな感じになっていたという訳です。
知識もない、世話もしないこんな私でも、とりあえずここまではできました。
気を良くしてさらに2本の茎をカットして、2つのペットボトルに入れてみました。さて、どうなるかしらね?
小学生の時にこんな宿題が夏休みにあったら、きっと楽しくっていっぱいいろんな植物を挿し芽したんだろうなと思いました。よろしければお子さんとご一緒にやってみられませんか?

